≪2024年版≫月破大耗カレンダーと鍾福堂通書について

 「擇日について」の記事で、中国占術における日選び(=擇日(たくじつ))がどのようなものかについて紹介をさせて頂きました。

 この記事では、上記記事において少しだけ紹介した「ほぼ万事に凶」とされる月破大耗の2024年の該当日と、日本語で書かれた唯一の通書、2024年版の鍾福堂通書を紹介しますので参考になさってください。

目次

「ほぼ万事に凶日」月破大耗の2024年カレンダー

 「擇日について」の記事に、「中国占術の擇日においては人が取ろうとする行動に応じてその日の吉凶が異なるものだ」と書きました。

 再掲しますが、神社仏閣の参拝、神棚や仏壇の移動、旅行、仕事の報告、治療のために病院を訪れる、友人に会う、引っ越し、出国、除霊、結婚、エステなどの美容、新婚生活のベッドの配置、工事、建築(建築関係はとても要素が諸々でかなり複雑ですが)、開店、農業における種まき、植林、魚釣り、埋葬・・・

 もっと言うなら神社仏閣の参拝という事柄においても、「神社仏閣をただ参拝するために適した日」があり、「神仏に祈願するために適した日」があり、「子孫繁栄を願うために適した日が」があり・・・といったように、その内容に応じて吉凶の日は異なるものだと考えます。

 その中で月破大耗が「ほぼ万事に凶」と言われるということは、

 「神社を参拝するにも、旅行に出かけるにも、病院に訪れるにも、久々の友人と会うことも、引っ越しをするにも、車購入の契約をするにも、仕事の面接を申し込むにも、婚姻届を提出するにも、(あるいは風水師に対して風水や四柱推命、擇日などの鑑定依頼をすることも)」すべてにおいて凶とされている日」ということを意味します。

(ちなみに「ほぼ万事」というのは、月破大耗においては古い家屋の取り壊しなどには使用に吉とする意味などがあるためです。)

 この月破大耗について、2024年の記事公開以降の該当日は以下のとおりです。

5月
5月11日(土)5月23日(木)
6月
6月4日(火)6月5日(水)6月17日(月)
6月29日(土)
7月
7月12日(金)7月24日(水)
8月
8月5日(月)8月18日(日)8月30日(金)
9月
9月12日(木)9月24日(火)
10月
10月6日(日)10月19日(土)10月31日(木)
11月
11月13日(水)11月25日(月)
12月
12月7日(土)12月8日(日)12月20日(金)
2024年5月から12月までの月破大耗の日です。

 もちろん家族や会社、友人、親戚といった方々の都合や意思が絡まる中で、自分の意志ですべての行動の日程を思うように決定することは不可能ですし、すでに決まってしまっている大きな出来事を変えることはなかなか難しいことではありますが、それでも「これからの自分の行動で変えられる部分」においてこうした日を避けるよう意識することまでは可能ではないでしょうか。

擇日における一日の考え方についての注意点

 ちなみに注意すべきこととして、この中国五術の世界において、一日の切り替わりは子の刻、つまり毎日の深夜23時です。

 また「時計で見た時間」は正確には日本の標準時間は東経135度子午線が通る、兵庫県明石市を基準とした「日本標準時」ですが、擇日を含めた中国占術の時間軸は、現地ごとに異なる「自然時」を採用します。

 時間の基準が太陽との位置関係にあることは先に書いたとおりですが、東京は兵庫県よりも早く太陽が昇り、福岡は兵庫県よりも遅く太陽が昇るというところで、兵庫県よりも東の地域は時計の示す時間よりも自然時は早く進んでおり、西の地域は時計の時間よりも遅れているということです。

 いくつか例を挙げたら、明石市よりも東の地域では北海道根室市では時差は42分、札幌では25分、仙台で23分、東京で16分、金沢で15分、名古屋で7分、大阪で2分自然時は時計の時間よりも進んでいて、

 明石市よりも西の地域では鳥取では3分、高知で6分、広島で10分、福岡で18分、宮崎で14分、長崎で21分、那覇で29分自然時は時計の時間よりも遅れています。

 例を挙げておくと12月7日(土)の月破大耗の一日は、札幌では12月6日22時35分から12月7日22時35分までの24時間を、福岡では12月6日23時18分から12月7日の23時18分までの24時間を指すということですよ。

月破大耗の算出基準

 擇日の持つ時間を読み解くための基準の一つに以下の「六十甲子」があります。

スクロールできます
上段が十干、下段が十二支。+は陽、マイナスは陰を示します。

 はじめに甲子の日があり、乙丑、丙寅・・・という循環で60番目が癸亥となりその次は再び甲子に戻るこの循環を六十甲子と呼びます。

 そのうえで、月破大耗の算出基準は以下のとおり月の干支と日の干支が対冲(対立、衝突のようなものです)の関係となるときです。これは四柱推命などでも対立の関係性としてみるものと全く同一の考え方です。

※新暦は毎年数日単位の誤差があります。

 擇日における吉日凶日は、あくまでこうしたロジックの積み重ねの中で行われるものです。

※ちなみにご参考までにこれらの日が誕生日に当たる方についての四柱推命がどうかという話については、月破大耗の日だから大凶の命式だ!なんて単純な見方はしませんのでご安心頂けたら。あくまで四柱推命は四柱(年柱、月柱、日柱、時柱)の全体を見るものですよ。

2024年版の鍾福堂通書について

 さて、擇日においては「取ろうとする行動」によってその日の吉凶は様々に異なるものだと書きました。

 では「具体的にどのように吉凶日を確認したら良いのか?」という話ですが、擇日の参考書たる通書には、日本語で発行されている「鍾福堂通書」が存在します。

 日本の専門家も多くの方はまずこの通書を頼りにして日選びを行うものだと考えていますし、日本語で書かれた通書は現状「鍾福堂通書」が唯一のものです。

 ちなみに福堂(しょうふくどう)とは山道帰一先生が組織している日本での通書発行のための委員会で、擇日の鑑定士としても活躍されている方々により構成されています。

 山道帰一先生は「玄空飛星派風水大全」の著者として有名ですが、風水先進地である台湾の人間国宝である鍾進添老師の高弟で、風水を生業とする者でその名を知らない方はいないと思いますのでその信頼性は言うまでもありません。

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 ちなみにこの鍾福堂通書においては、日選び時間選びといったものだけでなく、その年ごと、その時期ごとの旅行などにおける吉凶方位や、風水に関連した「動土(どうど。住宅周辺の工事など、土を動かす行為のことです)」において毎年注意をするべき方位といったものなどの記載も数多く、情報量はすさまじいものです。

 そのためこの本を一冊まるまるをきちんと理解するには風水など他の占術についても相当学ばないと不可能だろうとは思います・・・

 が、この記事に挙げたようなある程度の行動に対する吉日凶日の判断として程度ならば風水等の知識が全くない方でもこの本を一冊見れば使えるものだとわたしは考えています。

 内容の読み解き方について書物の内で詳しく解説がなされていますし、台湾での通書の「八割」というとんでもない普及率が物語るもう一つの側面は「知識のない方がみてもある程度理解できる」ということにあるわけですから。

(参考)「最強の開運日?」一粒万倍日の算出基準と「万事に大凶」月破大耗との重複日

 そしてここからはご参考までにですが、巷でよく吉日と言われる一粒万倍日は擇日においては検討しない旨を「擇日について」の記事に書きました。参考にウィキペディアの記載を再度引用しておきます。

選日は古代中国から続く占術である「萬年曆(または萬年農民暦)」が基になっており、天赦日や受死日等、農民暦と重なる内容が多い。しかし一粒万倍日等は日本に農民暦が入ってきた後に独自に作られた信憑性に乏しい内容であり、農民暦には一粒万倍日は存在しない。

            ーウィキペディア「一粒万倍日」から引用

 そしてその一粒万倍日の算出基準は以下のとおりとされています。

ウイキペディア「一粒万倍日」から引用して新暦のみサイト管理者追記。新暦は毎年数日単位の誤差があります。

 上にあげた月破大耗の算出基準を見比べて頂くとわかると思いますが、この中で「卯月の酉日」と「酉月の卯日」は一粒万倍日と月破大耗の概念が重複して該当します。

 つまり、2024年の記事公開以降では9月12日(木)と9月24日(火)、10月6日(日)は一粒万倍日と重複してこの月破大耗にも該当するということです。

 さまざまな記事で書いてきたように、中国占術には「凶を避けて吉に赴く」とする趨吉避凶(すうきちひきょうと概念が存在します。

 それを擇日の世界に置き換えるならば「まずは凶日に重要な行動を起こすことを避けること」を重要視すべきだというところです。

 どちらの理論を信用するかはもちろん個人の自由ですが、少なくともふたつのロジックが衝突するならば「どんないわれと実績があってそうした吉凶が決められているのか、どちらの説がより信用に足るものなのか」を検証するのが良いのではないかなあと個人的には感じるところです。

おわりに

 この記事では2024年の月破大耗のカレンダーと鍾福堂通書について紹介させて頂きました。

 この月破大耗においても、実際問題としてすべての行動をこの擇日の吉凶に合わせて予定を組むことはとても難しいものだとわたしは考えていますが、自分の意志で日程を動かせないイベントなどにおいて過度に気にするよりも「これからの自分の意志で変えることができること」に意識を向けるのが正しい使い方ではないかとわたしは考えています。

 「一に命、二に運、三に風水、四に積隠徳、五に読書」という言葉が示す中で言えばここに挙げる月破大耗を避けるという行動は「二の運」、つまりタイミングに属するものですが、この他にも中国占術の中でも「良い時期・悪い時期」を示す占術は四柱推命を始めとして複数あるもので、この月破大耗だけですべてが決まるわけではありませんから。

 (つまり実際には、たとえば結婚式などの日が月破大網に該当していたとしても、四柱推命における個人の運気としては「結婚にとても好ましい時期」に重複しているという判断は往々にしてあり得ます)

 ですから自分の意思で変更が可能な範囲において「普段と違う特別な行動、たとえば旅行、住宅や車の売買などの重要な契約、入社の申し込みや引っ越しや婚活、あるいは結婚といった人生における大事なイベントで、自分の意志で行動を決定できる範囲の日選び」においては凶とされる概念を避けて、これらの吉とされる日を意識してみても良いのではないでしょうか。

 あるいは神社参りや御朱印帳集めが好きな方がことごとく月破大耗の日や神社参りに凶とされる日ばかりに参拝をしてしまってはもったいないですし、良かれと思って選んだ日が好ましくないというのはできたら避けたいものですよね。少なくとも自分なら良い日を選びたいと考えるところです。

 それではこの記事はここまでです。

 時間をうまく選ぶということは風水で言う良い方位を活用すること、運の流れをうまく使うことと近いものだと考えています。良い日々を送っていただきますように。

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