四柱推命について

 中国にこんな言葉があります。「一に命、二に運、三に風水、四に積陰徳、五に読書。」

 人生に影響を与えうるものを並べた言葉なのですが、ここでいう命はその人の宿命を、運とはそのときそのときに巡る運気の流れの善し悪しを指します。

 そしてこの命と運を生年月日と出生時間から占断するための中国の技法が四柱推命になるわけですが、「風水よりも命運の方が影響力が強い」ことがここで述べられています。

 どのような命運をもって生まれた人であるかの判断があり、そのうえで風水などによってその運命を良い方向に変えていくことがこうした考えの先にあるものです。

※ちなみに言葉の中の「積陰徳」とは「人目につかないところで善行(徳)を積むこと」という意味で、人目につかないところで行うことこそが善行だよってことです。他人の前で行ういいことは他人からの称賛目当てのことがありますし、それは自分のための行為でしかないですから。

 そんな四柱推命を考えたときにわたしが強く思うことは三つです。

  • 生まれた環境や才能と人生の運気は別の話
  • 「運が悪い人」はどこにもいない
  • 運命のようなものはきっとあいまいなもので、変えることができる

 この記事ではそんなことについてつらつらと書いてみようと思います。

目次

生まれた環境や才能と人生の運気は別

 まずはじめに四柱推命って何なんだってお話をします。

 四柱推命は人の生年月日と出生の時間から、「その人の持って生まれた特性」、「周囲の人たちと築きやすい関係性」、それに「人生における運気の流れの善し悪し」などを判断するものです。

 四柱推命においてその人の情報を読み解くための表を「命式(めいしき)」といって漢字八文字で書かれるものがあるのですが、あれって実は単に中国における太陰暦で生年月日を記しただけのものです。

 参考に、記事執筆現在である2023年5月19日21時の四柱をあげるとこんな感じになります。この日の21時から23時に生まれたお子さんの命式はこれと同じものになるということです。

 2023年がうさぎ(卯)年であることは多くの方がご存じであるかとは思いますが、この暦に沿って言えば正確には「癸卯(みずのとう)年」になります。同じルールに沿って時間までの情報を記した八文字がこの命式になるわけです。

 ざっと見る限りこの命式を持ったお子さんはとても協力的なお父さんお母さんのもとに育ち、友人にも恵まれて控えめながら芯の強い方になっていくのではないかなあと思います。

(ちなみにこうした考えから、いまこうした考えがメジャーな香港や台湾などではこどものよい誕生日を四柱推命で鑑定して帝王切開を行う富裕層も少なからずいます)

 とはいえ、同じ命式であっても男女によって今後の運気の流れは大きく異なるものになります。その今後の運気の流れのことを10年単位で見たもののことを「大運(だいうん)」と呼びます。

 ここでその大運についての占断を書くことはしませんが、わたしの師匠がよく言われることは「命式とはその人が持って生まれた車の車種のようなもの、大運は道路のようなもの」だってお話です。

 つまり、スーパーカーのようなすごい車であっても走る道がデコボコの未舗装の峠道であったなら、高速道路を走る軽自動車のほうがずっとスムーズに車は走るということです。

 ですから、例えば無料の鑑定サイトなんかで四柱推命を占断してもらった場合に出る情報の多くは本人の特性どまりかと思いますが、、、大事なのはその先の大運との兼ね合いになるわけです。

 有名人や貴族階級の家庭に生まれてその後不運な人生を送った方も、貧しい家庭に生まれながらもその後大成した人の例もここで例を挙げるまでもなくたくさんの方がいることはみなさんが周囲を見渡しても明らかな事ですよね。

 なぜそんなことを読み解ける情報が暦の中にあるのかについては私にはわかりませんが、、、

 ただこの四柱推命の技術にも生まれた時間の天体の位置関係などといったものがあるらしく、西洋占星術のように「人間は天体の関係から影響を受ける存在である」という考えがベースにあるもののようです。

 そんなアホなって思う方も多いかと思いますが、こればかりは実際に鑑定の例などを見ていく中でご自身で判断をしてもらうほかはないのかもしれませんが・・・。

「運が悪い人」はどこにもいない

 「運が悪い人」。周りを見渡すとなんとなくそうした人もいるような気がしてしまうのですが・・・四柱推命は中国古来の暦に基づいた占断の技術で、暦というものは巡るものです。

 甲乙から始まる「十干(じゅっかん)」と言われるものと、日本でも有名な「十二支(じゅうにし)」の組み合わせからなるこの暦で60種類のパターンが年、月、日、時間のそれぞれにおいて巡るものとして捉えることができます。

 つまり、「運気の流れが悪い時期」はあるものですが「ずっと悪い運期が続く人」というのは四柱推命の観点から言えばいないわけです。

 例えば幼少期に悪い運気に当たっていた人からすれば、実はその人がその後に巡り合う運気というものは良いものになることが多いです。

 ただし、幼少期に悪い運気の流れにあって実際に厳しい幼少期を送った方からすれば「私は運が悪いんだ」と思い込んでしまうことも少なくない。

 心理学に「ピグマリオン効果」や「ゴーレム効果」と言われるものがあります。

 ピグマリオン効果というのは、教師や親から「君はできる子だから」と期待された生徒がその期待のとおりに成績を伸ばすことを指す心理学の用語です。

 反対に「君はできない奴だなあ」と言われ続けて育った子が実際に成績が悪くなることを「ゴーレム効果」と呼びます。

※参考HP:ウィキペディア「ピグマリオン効果」

 教師や親といった他者からの言葉の先にあるのは言うまでもなく「自分自身に対する期待、あるいは自己規定」です。

 たとえよい運気が巡っていても「私はどうせダメだから」とあきらめてしまっていては何も成せるものではありません。

 よい運気であれ悪い運気であれずっと続くものではないです。だからどうか、自分のことを「運が悪い」だなんて決めつけることだけはどうかやめていただけたらなあと思います。

 自分に期待できなくなってしまうことほど恐ろしいことってきっと他にないですから。

 もっと言うならたとえ大運が悪い中でも比較的運気のよい流れが巡る年があり、あなたを助ける人が現れる年回りがあり、素敵な異性に出会う年だって巡ってくるものです。

 わるい運が続く人なんてどこにもいないんですよ。だからどうか自分のことを「運が悪い」だなんて決めつけるのはやめてくださいね。

運命はあいまいなもので、きっと変えることができるもの

 これまで書いてきたことは四柱推命でみることができる情報に関することですが、四柱推命で見ることができるのは「どのような事象が起こるかの傾向」のみであって、その中身について具体的に起こる事柄が判断できるものではありません。

 とはいえここは鑑定者の力量にもよるのかもしれません。私の師匠などで恐ろしく精細な判断を下す方も中にはいらっしゃるので・・・。

 ただしそうした精細な判断を下せるケースがすべてだとはわたしは決して考えていません。

 四柱推命は生まれた年月日と時間の情報から結果を導く占術です。そのため、例えば同じ時間帯に生まれた一卵性の双子などはまったく同じ命式をもってこの世に生まれ出ることになるわけです。

 ですがすべての双子が同じような人生をたどるかといえば決してそうではない。

 全く同じ命式と大運をもって生まれて、同じ環境で幼少期を過ごす双子ですら同じ人生を歩むわけではないのです。

 もちろんそこには同じような傾向の本人の特性があって、同じ運気の流れがあって、同じ時期に出会いがあって同じ時期に苦しい経験をすることになるのかもしれませんが、それだけで同じ人生になるわけじゃない。

 命式や大運というものが同じであっても、その先には本人の行動によって人生は変わるものです。

 はじめに挙げた「一に命、二に運、三に風水、四に積陰徳、五に読書」はもって生まれた命運以外に環境を変え、善行を積んで、読書等によって知識を積むことで人生は変えることができるものだと読むことができるわけです。

 命運の善し悪しを変えるためにいちばん力の大きいものが環境(風水)を変えることだって中国では考えられていたわけなんですよね。

 そうした考えが根底にあるものですから、四柱推命の判断だけで人生が決まるものではありません。

 それが「運命のようなものはきっとあるけれど、それは変えることができるものだ」とわたしが考えている理由です。

 四柱推命はあくまで人生における運気の流れの傾向をはかるためのもので、人生のすべてがそれで決まっているわけではありません。きっとそれは四柱推命だけでなくてホロスコープのようなものもきっと同じ。

 生年月日の情報だけで人生のすべてが決まってしまうのであれば双子の存在に対する説明がつかないですので。。

 だから、運命はあったとしてもあいまいなものだし、変えることができるものだと私は信じています。すべてが決まっているなんてことはあり得ないと。

おわりに

 ここまで書いたように生年月日などの情報から判断を行う占術においては、双子の人生の違いが証明するようにすべてが決まっていることはあり得ないと考えています。

 きっと人にはそれぞれに本人の特性や築きやすい人間関係、そして人生そのものにおける運気の流れにおいて傾向性のようなものがあるのだろうと。それを読み解くのが四柱推命だとわたしは考えています。

 だから、「私の判断はすべて正しい!このままではあなたは危険だから、わたしが販売するお札、お水、あるいはパワーストーンを買うしかないんだ!わたしのもとで学ぶしかないんだ!」といった体で商売につなげる占い師がいたとしたらほんとうに気を付けてほしいと考えています。

 一つ例を挙げるなら病院で医師が判断を下す際に、少ない情報から断定的な判断を下して、「私のところで手術するしかないんだ」と力説する医師がいたとしたら、わたしはまずセカンドオピニオンとして他の医師の判断をあおぐべきだと私は考えています。

 風水や四柱推命が目に見えないものを扱う以上、ある程度の疑いの目や自分で判断する思考は持ち続けたままで鑑定は受けていただけたらと。

 本人の思考を止めるように促して自分だけを信用するように促す方を信用するのはとても怖いことです。それってわたしには霊感商法と同じ手法に思えてしまう。

 参考HP:政府広報オンライン「不当な寄付勧誘行為は禁止!霊感商法などの悪質な勧誘や契約は取り消せます」

 四柱推命などの占術に興味がある方にはそうしたことに重々注意していただいたうえで鑑定の結果を判断していただければなあなんて思います。

 四柱推命に関しては理論の概要を述べることはしまません(ごく基本的な見方のみは記事で紹介する予定です)が、実例を挙げることでどのようなものか見ていただけたらと考えています。

 また別の記事も読んでいただけば嬉しく思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 四柱推命も風水も思想の根底にあるのは五行思想です。良ければこちらの記事も参考にしてみてください。

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