「四柱推命基本の見方:六神と十神」の記事において、命式の中でどのように六神、十神=通変星)を導くかの方法についてみてきました。
六神、十神にかかる基本的な意味や見方についてはその記事で説明をさせて頂いたところですが、実際の観法の中では命式の中でそれらの十神(通変星)がどのような配置でありどのような相互作用を起こしているのかというところを重視します。
ここではそれらについて少しだけ追加の説明をしておこうと思います。
この記事は六神、十神がどのようなものか把握されている方向けの記事です。六神や十神について基本的な概念を知りたい方は下記の記事をご参照くださいね。
四柱推命基本の見方:六神(≒通変星)の組み合わせとその関係
はじめに書いたように、それらの六神、十神(=通変星)は、命式の中でそれぞれ独立して働きをこなすものではなく、命式の中でそれらの十神同士が影響を及ぼしあうものです。
この記事においては、その導き出した十神(≒通変星)が、命式の内で、あるいは来る大運や流年といったものの中でどのような相互作用を持つのかについてみていこうと思います。
正確には十神(≒通変星)で精細な見方をしていく部分はありますが、ここでは簡略化のため六神ベースでそれらの相互作用についてみていこうと思います。
この相互作用の中では中国の古代哲学がどのように世界を捉えていたのかを垣間見れるもので、少なくとも私にはとても興味深いものでした。
なお、各ケースにおける説明の中でこれらの相互関係がどうした事象を意味するかについての例を挙げましたが、最後に判断基準となるのはあくまでも命式全体の配置とバランス、それに自身の行動といったものです。
そのため下に記載する六神を同時に命式に持つ方がすべて同じ判断結果になるわけではないことには注意してくださいね。
食傷(食神/傷官)から見た六神の関係性
食傷は財星を生むもの
例えば日干が木の方の場合、日干木が生み出す食傷は火にあたり、日干木が剋す財星は土に当たります。そして火と土の関係は火が土を生む関係性に示されます。
それはつまり言い換えるならばお金というものは、行動の先に得られるものだという一面があるということ。
このことから四柱推命において食傷と財星が同居する命式、あるいは大運や流年でそれらが揃う方は自身でビジネスを行うことが適している場合があります。
食傷は官殺を攻撃するもの
次に、同じく日干を木とした場合、 木が生み出す食傷は火で木を剋す官殺は金に当たり、火と金の関係は火が金を剋すものとなります。
つまり食傷は自由な行動を意味するものですが、そうした行動というものは往々にして社会規範やルールを打ち破る、あるいは逸脱する可能性があるということ。あるいは行動的な方は官殺たる上司に歯向かいがちということもあるかもしれません。
こうしたことから官殺が強い命式をお持ちの方は大運や流年で食傷が巡る時期にはそれまで受けていた組織などからの押さえつけから解放される時期となるかもしれませんし、逆にルールを超えた行動によって組織内での立場を危うくしてしまう可能性があるかもしれません。
財星(正財/偏財)から見た六神の関係性
財星は官殺を生むもの
つぎは日干を火として考えてみます。日干火が剋す財星は金にあたり、火を剋す官殺は水に当たります。この金と水の関係は金が水を生み出す関係に当たります。
つまりお金は権力、ルールを作り出すという一面があるということです。あるいはお金を持つことは人を傲慢にする可能性がある、お金を持つことは暴力を呼び込むことがあると言い換えても良いかもしれません。
こうしたことから財星を命式内に多く持つ方は官殺が留年に巡る際には権威を得るという事象が巡るか、あるいは暴力、権威による押さえつけなどの事象に注意が必要な場合があります。
財星は印星を攻撃するもの
日干火が剋す対象である財星は金、火を生み出す対象である印星は木で、金と木の関係は金が木を剋す関係に該当します。
ここから読み解けるのはビジネスやお金というものは知識、思想を攻撃するという一面があるということです。
研究職や大学教授、あるいは弁護士などの肩書を持つ方がビジネスの中で拝金主義に走り知性が崩れ去る例というものは無数に挙げることができるでしょう。
ビジネスを行う方はお金と知性、あるいは思想のバランスというものに気を付ける必要があるのだと思います。
それまで知的な世界に身を置いていた学者が突如ビジネス然とした態度に身をやつして知性を棒に振るような姿は数多く事例はあるかと思いますが、それらの方の中には大運や流年で財星が巡っているケースもあることかと思いますよ。
官殺(正官/偏官)から見た六神の関係性
官殺は印星を生むもの
ここでは日干を土として考えてみます。
日干土からすれば自身を剋す官殺は木であり、自身を生み出す印星は火で、木と火の関係は木が火を生み出すものとなります。
このことが意味するものは権威やルール、あるいは組織というものはそれに伴った知識、あるいは庇護を生み出す一面があるということ。あるいは権威の後ろ盾のある知識はより強力に自身をサポートするものと捉えても良いかもしれません。
ですので官殺が印星を生む流れを命式に持つ方はより強く自身のサポートを受けている命式であることがあります。ただし強力な庇護というものは時として強力に行動を制限するものであり、例えばそれは引きこもりや収監などを意味することすらあります。
官殺は日干を攻撃するもの
官殺が日干を攻撃するのはもともとの概念そのままですので説明は省略します。
印星(正印/偏印)から見た六神の関係性
印星は日干を生み出して強めるもの
これももともとの概念そのままなので説明は省略します。
印星は食傷を攻撃するもの
日干を金とした場合、金を生み出す印星は土、金が生み出す食傷は水となります。この土と水の関係については、土が水を剋す関係となります。
そのため、命式内に印星の多い方は自身の食傷が攻撃されることで行動を阻害されている可能性があるということで、言い換えるなら思索は行動を抑制する一面があるということです。
ですので四柱推命において印星過多であるか、あるいは大運や流年の印星による悪影響を受けている方は自分一人でぐるぐると考え込んでしまう中で行動を起こすことができない状態に陥りやすい・・・かもしれないということ。
あるいはそれまで衝動的で行動過多だった方が急に知識を求めて行動を抑えるようになった場合には、もしかすると大運や流年の印星による影響を受けているのかもしれませんよ。
比劫(比肩/劫財)について
比劫は日干と同じ五行に属するものですから、見方としては当然日干と同じように印星から生まれて食傷を生み、官殺から剋され、財星を剋すものです。
その意味でいえばたとえば財星を考えたときには比劫はお金を巡るライバルともなるような一面もあるということです。ちなみに劫財の「劫」には奪う、かすめ取るといった意味も存在します。
もちろん比劫が多いということはそれだけ自身のサポートが増えるということなので一概にそれが悪いというものでもありません。
おわりに
と、この記事に書いた最終的な判断についてはあくまで全体の命式を観る中でその命式がどのような格に属しているのか、また本人の行動がどのようなものであるか等により最終的な判断を行います。
また、これらの思想の根底には陰陽説の「過大な陽は陰に転じ、過大な陰は陽に転じるもの」という思想があることは重要です。
この記事を読んでいただくとわかるように四柱推命においては原則五行のバランスを重視するものですが、そのバランスの悪さが一定のレベルを超えた場合には好ましく作用する場合があると四柱推命は説きます。
そうしたものを読み解く作業が命式の格決定になるということなのですが・・・正直いってこのサイトの記事で格の判断までの内容にたどり着くことは私の力量を超えているためそこまで書くつもりは今のところありません。
あくまでも過去に鑑定を受けた方が自身で命式を判断する際の足しになること、また四柱推命を学んでいる方の補助となるようにという考えから基本的な概念の部分までを書いているところです。
ともあれこの記事はここまでです。また折に触れて四柱推命のことも記事にさせて頂きますのでまた読んでいただければ嬉しく思います。
風水の記事をある程度集中的に書いているため四柱推命の記事を書くのが遅れていますが、風水というものは四柱推命と理論の根底を同じにするもので、四柱推命による鑑定結果の運気の流れをもっとも強く左右するものは環境の力、つまり風水の選択だと言われています。
四柱推命に興味のある方は風水の思想にも触れていただけたら嬉しく思いますよ。
それではここまで読んでいただきありがとうございました。
いまのところ四柱推命関連では下記のような記事を書かせて頂いています。よければ他の記事も読んでいただけたら嬉しく思います。
なお、風水についてはわたしがメインで使用している玄空飛星派風水(フライングスター風水)の概論と鑑定例の記事について挙げさせて頂いておきます。
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