十干十二支と方位・時間・四柱推命の蔵干のこと

 十干(じゅっかん)と十二支(じゅうにし)。風水・四柱推命の思想においてこれらの組み合わせは方位と時間を示すものです。

 十干と言われてもピンとこなくても十二支については多くの方が子丑寅・・・から始まる動物の名前を挙げることができるのではないでしょうか。

 古代中国においてこの方位と時間を表す基準となるのはどちらもこの十干十二支になります。方位とはつまり空間のことで、それって「空間と時間」を表す単位が同一であるということ。

 たしかに考えると一日のうちの時間というものは地球の自転によって太陽と地球の角度が変わることによって生じるものですし、月はそのまま月と地球の位置関係、一年、あるいは四季は太陽と地球の位置関係に還元することができます。

 それをもっと精細に突き詰めていくと太陽系の各天体と地球の位置関係というものになるわけです。古代の世界においては生活に対する影響を考慮して天体の動きを研究した文化は枚挙にいとまがありません。

 さらに言えば方位を測る単位は360度がひとつのまとまりですが、この360度という単位そのものがそもそも古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスが一年間の大まかな日数に近似させる形で作成した単位だとも言われています。

 そして、古代中国において生まれ出る時間の天体間の配置が人間に影響を与える影響を研究したのが四柱推命、そして住環境の持つ方位と時間の流れに伴う変化が人間にどのような影響を与えるかを研究したのが玄空飛星派風水だというわけです。

 空間と時間というものは切り離すことができない観念だということ。

 このことは個人的にはすごく興味深いので深堀りした記事を書くことができたら、、、とうっすら考えていますが、ひとまずこの記事では十干と十二支についてざっと説明させていただきます。

この記事は四柱推命や風水の理論背景に関する記事ですので、そうしたものに興味がない方は面白くない記事だと思います・・・。わたしの四柱推命や風水に関する基本的な考えは「四柱推命について」「風水について」の記事にまとめました。よければそちらもご覧ください。

目次

五行のおさらい

 「陰陽五行思想」の記事で、古代中国においては万物を陰と陽に分け、また万物は五行の性質に分類されると書きました。

 はじめに五行についてまとめた表をあげておきます。

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物体樹木・花太陽・ろうそく山・畑金属・刃物・宝石海・雨
方位中央西
季節土用※
形状長方形三角形四角形円形(不定形)
青・緑赤・ピンク黄・茶白・金・銀黒・紺
身体目・四肢
・肝臓
舌・心臓口・胃鼻・皮膚
・肺
耳・生殖器
感情
3・42・5・86・7
※土用とは立春、立夏、立秋、立冬の直前の18~19日間を指すもので年に4回あります。7月の土用の丑の日は4回の内の立秋の前の土用のことですよ。

十干について

 この十干とは木火土金水の五行の性質をさらに陰と陽とに分けた十種類のことです。

 表にまとめるとこのようなものです。

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十干五行陰陽物体
(きのえ)陽+樹木
(きのと)陰-
(ひのえ)陽+太陽
(ひのと)陰-ろうそく
(つちのえ)陽+
(つちのと)陰-
(かのえ)陽+刃物
(かのと)陰-宝石
(みずのえ)陽+
(みずのと)陰-

 甲(きのえ)はつまり木の兄、乙(きのと)は木の弟という意味があり、木、火、土、金、水それぞれの陽と陰だと考えるとこの名前は憶えやすいかもしれません。

 五行の表と見比べていただくとまさにこの五行における性質を陰と陽に分けたものが十干だということがわかるかと思います。

 この十干については、四柱推命でその個人を表す一番大事な属性を表すものとされるもので、その個人を表す日干の分類についてはまた別の記事で詳しく分類を行おうと思います。

十二支について

 つぎは十二支です。

 十二支が時間を表すことは今年がうさぎ(卯)年であったり正午、午前、午後といった言葉に今も残ることからも明らかなのですが、たとえば子午線(しごせん)という用語は地球の真北と真南を結ぶ線のことを指し、方位についてもそうした考えが残っていることが見て取れます。

 表にまとめてみます。

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十二支五行陰陽方位月(新暦)二十四節季時間
(ね)陽+12月大雪~23~1時
(うし)陰-北東1月小寒~1~3時
(とら)陽+2月立春~3~5時
(う)陰-3月啓蟄~5~7時
(たつ)陽+南東4月清明~7~9時
(み)陰-5月立夏~9~11時
(うま)陽+6月芒種~11~13時
(ひつじ)陰-南西7月小暑~13~15時
(さる)陽+西8月立秋~15~17時
(とり)陰-西9月白露~17~19時
(いぬ)陽+北西10月寒露~19~21時
(い)陰-11月立冬~21~23時
二十四節季はなじみがないかもしれませんが、春分、夏至、秋分、冬至といった季節区分は二十四節季の一部ですよ。

 節分の豆まきの時期に、中国の旧正月のニュースを見ると思いますが、古くは立春の日をもってその一年が始まるとされていました。

 そのため今でも風水や四柱推命における一年の始まりは2月4日前後の立春の日だというわけです。

十干・十二支と時間「六十甲子」

 ここまでみてきた十干十二支ですが、中国占術ではこの二つを組み合わせた暦を基礎として時間軸を読み解きます。

上段が十干、下段が十二支。+は陽、マイナスは陰を示します。

 具体的には十干の「甲」と十二支の「子」を組み合わせた甲子(きのえね)が初めにあり、その次は乙丑(きのとうし)、その次は丙寅(ひのえとら)・・・というように十干と十二支の組み合わせからひとつのものを作ります。

※陽の天干は陽の十二支としか組み合わされず、陰の十干は陰の十二支としか組み合わされないため60種類です。

 2023年がうさぎ(卯)年であったことはみなさんご存じかと思いますが正確には2023年は癸卯(みずのとう)年になるということで、慈しみの雨と陰の木の属性を持った卯であらわされる年が2023年であったということです。

 2024年の十干は癸の次は甲に戻りますので甲、卯の次の干支は辰なので2024年は甲辰年だというわけです。2025年は乙巳年ですよ。

 そして、玄空飛星派風水の三元九運という180年間を一周期とする時間軸はこの60年間を三回(上元・中元・下元)繰り返す180年間が循環するという考えであり、今は第九運、最後の二十年となりますが、この第九運の終わりである2043年は癸亥年に該当します。つまりこの六十年周期の最後だというわけで、2044年には甲子年に戻って新たに第一運が始まるというわけです。

 日本においても高島暦などにもこの思想は見られていたり、「壬申の乱」は壬申(みずのえさる)年に起こった騒乱ということですし、戊申戦争は戊申(つちのえさる)の年に起こった戦争というように、歴史上の事件においてもこうした名称が残っていたりしますよね。

 中国の時間の考えにおいては、年、月、日、時のすべてにおいてこの六十甲子の循環があるとされており、それらを組み合わせたものが四柱推命で読み解く命式となるわけです。

※図は「四柱推命について」の記事で挙げた2023年5月19日21時の四柱です。見やすいように色分けは水を水色、金を金色にしています。

 つまりこの六十甲子はすべての中国占術の礎となるものです。

十干・十二支と方位「地盤二十四山」

 では、十干十二支と方位についてはどうでしょうか。

 風水で使用する方位の種類は二十四種類で、図のような並びになっています。

 

 方位盤は南を上にして書かれるものですので、真北は子、真東は卯、真南は午、真西は酉となります。

 子丑寅・・・の十二支と甲乙丙丁・・・の十干が交互に現れるのですが、方位盤には戊と己の二つは存在しません。「土」は中央を表すものであるために戊と己の二つだけは方位に描かれないということです。

 その代わり、北東、南東、南西、北西を示す方位に「艮(ごん)・巽(そん)・坤(こん)・乾(けん)」の4つが入っています。

 これが風水で使用する方位区分になるわけです。

 こうしてみてきたようにこの十干と十二支は四柱推命、風水の両方において理論の基礎となるものです。そのため四柱推命でいう沖、三合といった方位ごとの組み合わせは風水においても同じ観念のもとで捉えるものとなるわけです。

 こうした理論がベースにあるからこそ、「風水をきちんと見ることのできる鑑定士は四柱推命も見ることができる」と言われているわけですよ。

四柱推命における蔵干(本気/余気)とは

 この蔵干は風水では原則使用することはなく四柱推命の観法で使用するものですが、ざざっと概要を説明しておきます。四柱推命に興味のない方は飛ばしていただければ。

 四柱推命理論、ひいては古代中国における時間軸の捉え方においては次の六十甲子にあげるように十干を「天干(てんかん)」、十二支を「地支(ちし)」として配列します。

 その中で、地支である十二支はそれぞれ個別に1つ~3つの天干、つまり十干を蔵するものとされ、それを蔵干と呼びます。蔵干については最も強いエネルギーを本気(ほんき)と呼び、本気以外のものを余気(よき)と呼びます。

 余気については全くないものから余気が一つだけのもの、余気が二つのものとわかれますが、余気が二つあった場合の余気同士のエネルギーについて大小はありません。

 その蔵干は具体的には以下の通りです。

地支五行蔵干
本気
蔵干
余気
蔵干
余気
子(ね)(無し)(無し)
丑(うし)
寅(とら)
卯(う)(無し)(無し)
辰(たつ)
巳(み)
午(うま)(無し)
未(ひつじ)
申(さる)
酉(とり)(無し)(無し)
戌(いぬ)
亥(い)(無し)

 目がくらみそうですがこんな感じです。

 ちなみに、四柱推命では恐ろしいことにこの蔵干においてすら流派により蔵干を異なるものとして捉える側面があるのですが・・・ここでは私が学ぶ流派における蔵干について記載しています。

 ひたすら見覚えのない情報ばかりを詰め込んだ記事で恐縮ですがこうした知識が風水と四柱推命の理論の根底に存在するということです。

 それではこの記事はここまでになります。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 四柱推命や風水の理論に関しては「陰陽五行思想」の記事や「玄空飛星派風水のあらまし」、また日干の十種類に関する記事などが参考になると思います。

 また、わたしの基本的な四柱推命と風水に関する考えは「四柱推命について」、「風水について」の記事にまとめました。よければそちらもご覧くださいね。

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