四柱推命基本の見方:六神(六親)/十神(通変星)とは

 四柱推命の理論は正直いってあまりにも複雑です。

 すべての観法をこのサイトで紹介することはできませんので四柱推命の結果を見るための助けとなるように簡単に四柱推命理論の超基本的な見方の部分だけをかいつまんでお伝えしようと考えています。

 ここでは四柱推命における六神(りくしん)、十神(じゅっしん)、通変星(つうへんせい)の概念についてさらりと説明していこうと思います。まず結論から書きますと・・・

 六神とは命式全体の8字のうち、自身を表す日干からみて他の7字がどのような五行に属するのかを区分したものです。(五行の5と日干の1をあわせて6ということです)六親は六神の別名です。

 それに対して十神とは、命式全体の8字のうち、日干から見た他の7字がどのような五行に属すもので、かつそれらを陰陽にまで分けて五行と陰陽で10種類に区分けしたものです。通変星はこの十神の別名です。

 と、おそらくこの文章だけを読んでも意味がわからないと思いますので記事で説明していきます。

 ひとつめの節「基本概念のおさらい」については過去にもこのサイトの四柱推命のカテゴリー記事で説明した内容とほぼ同じですので「知ってるよ!」という方は読み飛ばしていただければ幸いです。

目次

四柱推命基本概念のおさらい

陰陽五行思想

 四柱推命の根底には古代中国における陰陽五行思想というものが存在します。

 男と女、空と大地、光と闇、、、万物はすべて陰と陽の性質に分けることができるもので、五行思想については同じく万物を木・火・土・金・水の五行の性質に分けるとするものです。それぞれ五行の性質を「陰陽五行思想」の記事から引用します。

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物体樹木・花太陽・ろうそく山・畑金属・刃物・宝石海・雨
方位中央西
季節土用※
形状長方形三角形四角形円形(不定形)
青・緑赤・ピンク黄・茶白・金・銀黒・紺
身体目・四肢
・肝臓
舌・心臓口・胃鼻・皮膚
・肺
耳・生殖器
感情
3・42・5・86・7
※土用とは立春、立夏、立秋、立冬の直前の18~19日間を指すもので年に4回あります。7月の土用の丑の日は4回の内の立秋の前の土用のことですよ。

 また、この五行思想においては・・・

 「木は燃えて火を生み、火は燃え尽きて灰となり土を育み、土は身中に鉱物たる金を宿し、金は結露して水をその身に寄せ付けて、水は木を養う」とする五行相生という五行間の関係と、

 「木は根を張って土を荒らし、土は土塁となって水をせき止め、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属は木を切り倒す」という五行相剋という関係性が存在します。

 この記事における説明は最低限これらの五行の関係を把握していないと理解するのは難しいかとも思います。詳細は陰陽五行思想の記事をご覧くださいね。

四柱推命において本人を表すものは天干のうち「日干」

 現在の四柱推命において、四柱推命の八字のうちで本人を表すものは「日干」とされています。

 つまり生まれた日の天干がその個人を最も強く表すものだということです。つまり日干が何かということは10日間に一周するように巡りくるものなので、たとえばあなたとちょうど10日違いの誕生日を持つ方とは同じ日干を共有しているということ。

 天干は十種類に大別されるもので、例えば日干甲の方はまっすぐに伸びる大樹のようにまっすぐな方でありだけど折れたときには立ち直りづらい面がある、日干乙の方は木花のようにたおやかであるが実は打たれ強い面を持つなど、そうした日干に対する定型的な分類が存在します。

 十種類の大雑把な分類は下記のとおりです。

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天干五行陰陽物体
甲(きのえ)陽+樹木
乙(きのと)陰-
丙(ひのえ)陽+太陽
丁(ひのと)陰-ろうそく
戊(つちのえ)陽+
己(つちのと)陰-
庚(かのえ)陽+刃物
辛(かのと)陰-宝石
壬(みずのえ)陽+
癸(みずのと)陰-

 ただしもちろんながらこの十種類の分類だけで四柱推命が語れるのであればそれは血液型診断と何ら変わりはないもので・・・

 実際には同じ木であっても周りに太陽が集まりまさに身を焦がされる中で水の助けがない、いわば火事現場のような状況にいる木と、周りに仲間である木々が多く存在し水にも恵まれた木では全く状況は異なるというわけです。

 詳しくは下の記事をどうぞ。

地支と蔵干のこと

 四柱推命において本人の性質を表すものは、生年月日と生まれた時間を中国古代からの農暦に置き換えたもの、ただそれだけです。これはつまり「時間という概念そのものが意味を持つものだ」ということを意味するものですが・・・

 それはさておき四柱推命で扱う時間区分は先にあげた天干と地支の組み合わせによるとされており、地支とは「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」、つまり十二支のことです。

 2023年は一般的には「卯(うさぎ)年」として知られますが、この四柱推命で扱う天干までを含めた歴においては「癸卯(みずのとう)年」になるということです。

 また、この地支についてはそれぞれが1~3個の天干を蔵するものとされており、それらを「蔵干(ぞうかん)」と呼びます。蔵干はエネルギーの大小によって「本気」と「余気」に区別されます。

 この十干と十二支はそれぞれ陰陽と五行の性質を持ち、時間を表す単位でもあり、同時に方位を表す方位でもあり、風水、四柱推命の双方で使用されるものです。以下に「十干十二支と方位・時間」の記事から地支と蔵干の表の一部を抜粋します。

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地支五行陰陽月(新暦)時間
子(ね)陽+12月23~1時
丑(うし)陰-1月1~3時
寅(とら)陽+2月3~5時
卯(う)陰-3月5~7時
辰(たつ)陽+4月7~9時
巳(み)陰-5月9~11時
午(うま)陽+6月11~13時
未(ひつじ)陰-7月13~15時
申(さる)陽+8月15~17時
酉(とり)陰-9月17~19時
戌(いぬ)陽+10月19~21時
亥(い)陰-11月21~23時

 最後に地支(十二支)が蔵する天干、つまり蔵干です。

 地支は1つ~3つの天干の要素を身中に宿しているものだとされており、それらをまとめたものが次の表です。蔵干には本気と余気という種類があり、地支が持つもっとも大きなエネルギーの蔵干を本気、それ以外を余気と呼びますよ。

地支蔵干
本気
蔵干
余気
蔵干
余気
(無し)(無し)
(無し)(無し)
(無し)
(無し)(無し)
(無し)
つまり十二支の五行は本気の蔵干五行と一致します。余気を持たない地支もあります。

なお恐ろしいことに、四柱推命においてはこの蔵干すら流派によって内容が変わります・・・。わたしの記載している蔵干はわたしが信頼する香港、台湾の流派における蔵干ですよ。

 すでに情報量が多くて恐縮ですが・・・記事内には蔵干も含めた早見表を作っておきましたので覚える必要はありません。

 蔵干についてはもう少しくわしく知りたい方は下の記事をご覧ください。

四柱推命基本の見方:六神(六親)/十神(通変星)とは

 それではここから六神(りくしん)と十神(じゅっしん)について説明します。まずはじめに書いた結論をもう一度書きますと・・・

 六神とは命式全体の8字のうち、自身を表す日干からみて他の7字がどのような五行に属するのかを区分したものです。(五行の5と日干の1をあわせて6ということです)六親は六神の別名です。

 それに対して十神とは、日干から見た他の7字がどのような五行に属すもので、かつそれらを陰陽にまで分けて五行×陰陽で区分けしたものだということになります。通変星はこの十神の別名です。

 ・・・と、文章だけ見てもわかりづらいのでひとつの命式(八字)を例に挙げます。ここでは2023年8月26日午前10時の例として命式を作成しました。

 つまり西洋歴における2023年8月26日午前10時という時間は、四柱推命における歴では「癸卯年、庚申月、丙辰日、癸巳時」と置き換えることができるということです。なおこの日付、時間はこの記事の説明のために五行の全要素が含まれる日時を選んでいます。

 そしてこの命式において自分自身を表す日干、つまり日柱の天干は陽の火、「丙(ひのえ)」であり、この命式を持つ方の最もシンプルな見方はつまり太陽にたとえられるような方だということです。

 そして六神、十神といったものはこの丙からみた他の7字を五行と陰陽の違いから見ていくというわけです。

 図においては五行の性質ごとに色分けをしていますが、「正官」「正印」「偏財」「食神」「比肩」といったものが陰陽分けまで含んだ十神(≒通変星)です。

六神・十神の全体

 個別に六神、十神を見ていく前に、全体としてどのようなものが六神、十神に相当するのかざっと見ておこうと思います。下に内容の説明は書いていきますのでここではざっと読み飛ばしていただければ。

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日干から見た
五行の性質
六神陰陽十神
日干と同じ五行比劫日干と同じ比肩
日干と同じ五行比劫日干と異なる劫財
日干生じる五行食傷日干と同じ食神
日干生じる五行食傷日干と異なる傷官
日干剋す五行財星日干と同じ偏財
日干剋す五行財星日干と異なる正財
日干剋す五行官殺日干と同じ偏官(七殺)
日干剋す五行官殺日干と異なる正官
日干生じる五行印星日干と同じ偏印
日干生じる五行印星日干と異なる正印

 ・・・というのが全体像になります。

 日干が10種のうちいずれの天干、地支がどの六神、十神にあたるかは次に一覧業をつけましたのでそちらを参考にしてください。

 ではここからは先ほどの例を参考にして文章を進めますが・・・先に一言だけ。

 この十神の判断においては、ポジティブな記載とネガティブが記載がされるものですが、実際の鑑定においては命式における八字すべての相互関係まで判断に含めるもので、すべての十神はポジティブな作用とネガティブな作用の二面性を含むものです。

 そして陰陽の思想が示すとおり、命式内にひとつのグループの陽が多い場合にはそのグループの陰の面も性質として併せ持つともされています。たとえば比肩を多く持つ方は劫財の意味も併せて持つというように。もちろん多い陰は陽の意味も併せ持ちます。

 そのため十神だけの判断において命式内にネガティブな意味を持つものが多い方が悪い運勢を持つ方だとは限りませんよ

日干から見た十神(通変星)の早見表

 五行理論や陰陽などを覚えるのは大変かと思いますので、以下に十神のグループ分けの早見表を作ってみました。よければ参考にしてみてください。 

 なお、下の表においては左右の列に日干を、上下の行に十神を記載しており、「/」は天干と地支を分けたもので、土の属性を持つ地支は4つあることから地支同士が並ぶ際には「・」で区分けをしてあります。地支については本気蔵干で十神の分類をしてありますよ。

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十神日干日干乙日干日干日干戊日干己日干庚日干日干壬日干
比肩甲/寅乙/卯丙/巳丁/午戊/辰・戌己/丑・未庚/申辛/酉壬/亥癸/子
劫財乙/卯甲/寅丁/午丙/巳己/丑・未戊/辰・戌辛/酉庚/申癸/子壬/亥
食神丙/巳丁/午戊/辰・戌己/丑・未庚/申辛/酉壬/亥癸/子甲/寅乙/卯
傷官丁/午丙/巳己/丑・未戊/辰・戌辛/酉庚/申癸/子壬/亥乙/卯甲/寅
正財己/丑・未戊/辰・戌辛/酉庚/申癸/子壬/亥乙/卯甲/寅丁/午丙/巳
偏財戊/辰・戌己/丑・未庚/申辛/酉壬/亥癸/子甲/寅乙/卯丙/巳丁/午
正官辛/酉庚/申癸/子壬/亥乙/卯甲/寅丁/午丙/巳己/丑・未戊/辰・戌
偏官庚/申辛/酉壬/亥癸/子甲/寅乙/卯丙/巳丁/午戊/辰・戌己/丑・未
正印癸/子壬/亥乙/卯甲/寅丁/午丙/巳己/丑・未戊/辰・戌辛/酉庚/申
偏印壬/亥癸/子甲/寅乙/卯丙/巳丁/午戊/辰・戌己/丑・未庚/申辛/酉

日干と同じ五行:比劫(ひごう)=比肩/劫財

 日干と同じ五行に属するグループのことを比劫と呼び、そのうち日干と陰陽が同じものを比肩、異なるものを劫財と呼ぶと書きました。

 そして、比劫とは自分と同等の地位にある仲間、友人、同僚、兄弟姉妹、ライバル、自立心などを意味するものです。

 比劫は上下の関係がない同列の関係性を示すものですが、それは個人の内部に目を向けると自意識の強さというものにも結び付きます。

 つまり、この命式において日干丙と同じ日のグループに属するものは時柱の地支である巳だということになります。

 そして日干丙と時支(時柱の地支ということです)の巳の本気である丙は同じ五行、同じ陰陽に属するものなので十神においては比肩です。ここに丁がくるなら劫財ということですよ。

 ではその比肩と劫財の意味にはどのような違いがあるのでしょうか。

比肩(ひけん)と劫財(ごうざい)について

 比肩と劫財はいずれも比劫のグループに属するもので、基本的な性質としては上に書いたとおり「仲間、友人、同僚、兄弟姉妹、ライバル、自立心」を意味するものです。

 ただし比肩についてはその中でも仲間、友人といったポジティブな要素が強く、劫財においてはライバル、競争相手といった意味合いが強いものとなります。

 またこれらがあまりにも多い場合には、良い意味でも悪い意味でも自立心がとても旺盛だとみることも。

 比肩、劫財のいずれにおいてもそれらが多すぎる場合には両方の意味を兼ね備えるものだとされています。

 また、比劫グループは自身の五行と同じものを指し、いわば自分、つまり日干を強めるグループに当たります。

日干が生じる五行:食傷(しょくしょう)=食神/傷官

 日干が生み出す五行に属するグループのことを食傷と呼び、そのうち日干と陰陽が同じものを食神、異なるものを傷官と呼ぶと書きました。

 そして、食傷とは知性、行動、自己表現、技術、また女性にとっての子どもなどを意味するものです。

 食傷とは自己表出、アウトプットと考えればイメージがしやすいかもしれません。自らが生み出すものとして、女性にとっては子どもを意味するというのも疑問の余地はないかと思います。

 この命式においては日干丙(火)が生み出す五行は土になります。そのため日柱の地支、日支の辰が食傷に該当します。

 ここでは日丙と辰の蔵干戊の陰陽は同じであるため、辰の蔵干戊は十神において「食神」だということになります。ここに己が来るようであれば傷官ということです。

食神(しょくじん)と傷官(しょうかん)

 食神と傷官はいずれも自身が生み出す五行のグループに属すもので、基本的な性質は上にあげたとおり表現や行動、知性といったものが主たる意味とされます。

 ですが食神が比較的社交的で温和な表現を好むことに対して傷官はさらに知性を表しますが繊細で鋭い表現を好み、やや自意識過剰な一面があるともされています。

 ただし、傷官においては表現が攻撃的であるとされる一方、その奥に他者を気遣う一面があるとも言われます。

 食神、傷官のいずれもそれらが多すぎる場合にはどちらの意味も兼ね備えるものとされますよ。

 また、これら食傷については、日干が力をもらすものであることから、グループとしては日干を弱めるグループに分類されます。

※また、この食傷が表す知性とは「頭の回転の速さ」というものがイメージに近く、印星が表すものは「知識」に近いものです。

日干が剋す五行:財星(ざいせい)=正財/偏財

 日干が剋す五行に属するグループのことを財星と呼び、そのうち日干と陰陽が同じものを偏財、異なるものを正財と呼ぶと書きました。

 そして、財星とはまさにお金、ビジネスといったものや、男性にとっての女性(恋人、妻)を意味するものです。

 いわば自らが力でコントロールするものとして物質的な財を意味するものです。

 財星が男性にとっての女性を意味するというのは、あくまでも四柱推命理論においてはそのような捉え方をするものだとご理解を頂ければ。

 この命式においては日干丙(火)が剋す五行は金になります。そのため月柱の天干庚と地支である申の蔵干庚が財星に該当します。

 ここでは日干丙と庚の陰陽は同じであるため、庚は十神において「偏財」だということになります。ここに辛が来るようであれば正財として考えるということです。

正財(せいざい)と偏財(へんざい)

 財はいずれもビジネスやお金を意味するものです。

 ですが正財はその中でも勤め人として発生するサラリーのような意味を強く持ち、偏財はそのときそのときの流動な儲けといった意味を強く持つものです。

 命式内のこれらの多少だけで判断することは厳禁ですが、中にはこうしたものが強く出る命式の中に優れた経営者としての資質が見られる方がいることも事実です。

 また、自己の内面という観点から言えばこれらの性質は正財は堅実な性格を、偏財は散財的な傾向を示すこともあります。

 ただし偏財においても散財する先には困っている方を救いたいという利他的な側面を持つとも言われます。

 正財、偏財も命式内に多くを持つ場合にはその両方の意味が出やすいとされています。

 財のグループにおいても自分の力を使って財を剋すという観点から、日干を弱めるグループに該当します。

※なお、命式に財が多いからお金儲けの才能があるとかそういった見方はしません。財は日干を弱めるものとして作用するので、その命式ごとの日干が財を任せるに足りうる強度を持った日干かどうかで命式内の財の多さをどう判断するかは異なるものですよ。

日干を剋す五行:官殺(かんさつ)=正官/偏官(七殺)

 日干を剋す五行に属するグループのことを官殺と呼び、そのうち日干と陰陽が同じものを偏官(七殺)、異なるものを正官と呼ぶと書きました。

 そして、官殺とは権威、規範、ルール、肉体的な力や武力、そして女性にとっての夫、男性にとっての子どもなどを意味するものです。

 言い換えるならば自らを押さえつけるもの、律するものというイメージでしょうか。それは組織近いものだとわたしは捉えています。

 学校であり会社であり協会であり軍隊であり。そうした上司や教師などという上下関係と規範を持った組織です。

 あるいはもっと大きくとらえるならば法律やモラルなどの自己規範もこの官のイメージに近いものです。

 そして女性においてはこのように自らを律する存在が夫であるとして四柱推命理論では捉えるということです。

※男性にとっての子どもについては、男性においては財星が妻を表すものですが、その財星が生み出すものが官殺に当たるために子どもとして捉えます。

 この命式においては日干丙(火)を剋す五行は水です。そのため年柱の天干癸と時柱天干の癸が官殺に該当します。

 ここでは日干丙と癸の陰陽は異なるため、癸は十神において「正官」だということになります。ここに壬が来るようであれば偏官(七殺)として考えるということです。

正官(せいかん)と偏官(へんかん)/七殺(しちさつ)

 正官、偏官(七殺)は権威でありルールであり自身を押さえつけるものと書きました。

 正官と偏官の違いについては、正官がまさに「規範、組織」といった印象を持つのに対して、偏官は肉体的な力や武力に近いイメージを持つものとされます。あるいは正官を事務職の公務員とするならば偏官は軍人に近い性質を持つものだということができるかもしれません。

 ただし偏官は他人を引っ張っていくリーダー気質としての特性を観ることもあります。

 正官、偏官もまた命式内に多くを持つ方は両方の資質を考えるものです。

 これら官殺のグループも日干を剋すものであることから日干を弱めるグループに属します。

日干を生じる五行:印星(いんせい)=正印/偏印

 日干を生じる五行に属するグループのことを印星と呼び、そのうち日干と陰陽が同じものを偏印、異なるものを正印と呼ぶと書きました。

 そして、印星とは知識、精神性、思索、母親などを意味するものです。

 印星については自分のエネルギーに対する供給元、あるいはインプットとして作用するもので、知識や庇護を表すということです。母親についてもそのまま自らを生み出す存在として捉えるということです。

 この命式においては日干丙(火)を生じる五行は木です。そのため年柱の地支である卯が印星に該当します。

 ここでは日干丙と蔵干乙の陰陽は異なるため、卯の蔵干乙は十神において「正印」になります。ここに甲が来るようであれば偏印となるということです。

正印(せいいん)と偏印(へんいん)

 正印、偏印は日干を生み出すグループで主に知識などを意味するものだと書きました。

 正印と偏印の違いとは、正印がたとえば学校などで習う多数派に通じる学術理論を指すのに対して、偏印は独創的な知識を指す意味合いが強いということです。

 たとえば社会学や経済学といった学問、あるいは教員としての資質が正印として現れがちなのに対して偏印はまさに四柱推命や風水などの占術の知識というような。

 あるいは伝統的、大勢的な知識と急進的でニッチな知識と言い換えることもできるかもしれません。

 これら印星のグループは日干を生み出すグループですから、日干を強める存在として機能します。

※印星と食傷の違いについては、印星が主に「知識」を表すに対して、食傷においては「頭の回転」といった意味での知性を表します。

十神のみを見た中の総合判断

 では、これらの六神の判断を総合してみるとどのような見方ができるでしょうか。

 四柱推命において天干はその方の表面上に現れやすい性質をよく示すものとされ、地支はその方の表に出にくい性質を示すものとされます。

 そのため、ひとつの見方としては年干、時干のふたつの癸「正官」における生真面目で規則正しい性格がこの方を強く印象付けるものになるでしょうしその中でも月柱における庚「偏財」にみられる気風のいい様子も見受けられる方になるでしょう。

 そして外部に見えづらい部分の中で年支の卯「正印」に見られる教養を求める性質であったり日支辰「食神」における奔放で行動的な一面を他者から見えづらい部分で持っているのではないか、

 また日干丙については基本的には明るく活発で太陽のような存在と見るものですが、この丙は隣接する時干の癸正官から直接剋されており、コントロールされた丙ですから丙としての性質はそこまで強くは出ないだろうとみることができ、やはり奔放で明るいというよりは生真面目な面が強く出る方になるのではないかとみるわけです。

※なお、実際にはこの十神という観点においても「命式内の十神どうしの関係性」というものは大きく結果に影響します。十神までの詳細なものではありませんが六神どうしの関係性までについては以下の記事で紹介していますのでよかったら参考にしてください。

おわりに/十神だけで四柱推命の判定はできません!

 と、ここまで四柱推命において六神、十神というものがどのようなものかを書いてきましたが、この記事の続きの内容として、「四柱推命基本の見方:六神の組み合わせと関係」の記事にはこの六神についてもう少し踏み込んだ説明を書いています。実際の鑑定においてはこれらの組み合わせの内容も大きく鑑定に影響するものです。

 とはいえ、この六神や十神の命式内の多い少ないのみで四柱推命の判断はできません。この記事はあくまでも過去に四柱推命の判断を受けた方や無料鑑定で疑問を持った方が自身の命式を見直すための助けになればと思い作成したものです。

 四柱推命の難しいところは様々な見方がある中でそれをどのように総合して判断するかというところにあるとわたしは感じています。

 ですから例えば命式内に偏官(七殺)が多いから自分は暴力的な要素の強い人間なんだ、あるいは傷官が多いから人を傷つける表現を好む本質があるんだ、などと一概に見ることは鑑定の世界では厳禁です。

 ですから巷にはびこるネット上の自動鑑定サイトや無料鑑定などでもしもそうした占断を受けた方はどうか気になさらずに。

 そうしたものは自身に対する暗示ともなりうるものなので安易にそうした占断を信用せずに頂ければ幸いです。

 「四柱推命について」の記事にも書きましたが自身に対する悪い暗示ほど人生を暗転させかねないものはありませんのでご注意くださいね。

 あるいはもしそうしたことに悩まれる方は力があると思われる複数の鑑定士にきちんと対価を支払ったうえで占断を行ってもらう方がよいとも考えていますよ。

 それではこの記事はここまでです。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 四柱推命については記事数が少ないですが他にもいくつかの記事を書かせて頂いています。よければそうしたものも読んでいただけたら嬉しく思います。

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