風水について

 風水。言葉としてはとてもなじみの深いものになりましたが、私たちのように専門に風水を学んだ者からすると、日本における風水という言葉の持つ意味はとてもうさん臭いものに成り下がってしまっていると感じています。

 まずはじめにお伝えさせてほしいのですが、黄色い財布も特別な就寝グッズも、特別な炭も特別なお水も、あるいはパワーストーンも、私はすべて信用をしていません。

 もう少し正確に言うなら、世の中には不思議なことも説明がつかないような特別な出来事も存在するだろうとは考えていますし実際にそうした力のある方が風水業を営んでいるケースはあると考えています。ですが、そうした商売をしている人の中には一定数以上、顧客を騙して風水師自身の利得のためだけに動いている人たちが混ざっているのではないかと疑っています。

 「あなたの運気はいまとてつもなく落ちてしまっている!だから私が特別に気を込めたこのパワーストーンを玄関に飾り、特別なお水を毎日200ml飲まないとだめですよ!」

 それって霊感商法ぽくないですか?中にはそうした力が本当にある方もいるのかもしれませんが、私はなかなか信用できないですし「あなたはこのままでは不幸になる、だから私が特別に売っているこの~を買いなさい」というロジックはとても怖いものだなあと思います。

 また、「~色の財布で金運アップ!」「お掃除風水!」「西側に黄色のカーテンで開運!」「ラッキーナンバーで開運!」などに関しては、毎朝の占いと同じようにエンタメと割り切るならそれでよいのではないかと思います。ただそんなものは風水ではないと私は考えていますし、もし風水的な要素が含まれていたとしてもごくごく一部の小さなものでしかないよなあ、、、と。

 ここでは私が風水について考えている基本的な事柄をまとめてみました。風水というものを「うさんくさいなあ、、、」と感じる方にこそ読んでいただけたら幸いです。

目次

風水ってなに?

 じゃあ風水って何なんだというと、「環境が人間に与える影響を研究してきた理論」だと私は考えています。古代から積み重ねられてきた理論の積み重ねです。

 あくまで理論ですから、当然同じ流派で2人の人が風水を同じだけ学べばその2人は基本的に同じ結論にたどり着きます。そこには霊感や超能力の入ってくる余地はないもので。

 風水的な研究そのものはお墓の吉地を求めるために始まったのがその発端ですが、少なくとも2000年以上前から存在するとされており秦の始皇帝(B.C3世紀頃)は熱心な風水の信奉者であったとのことです。

 そして「風水」という言葉が歴史に登場するのは郭璞(かくはく、276年ー324年)という人が吉兆の山の形や水の配置などについて書いた書物の中の次の言葉からです。

 「気は風に乗ずれば散じ、水に界(へだて)られれば即ち止(とど)まる。

 気は風に乗って運ばれて、水のもとにとどまる。それがもともとの風水の源流です。どうでしょう?なんだか財布の色とかラッキーナンバーとかそうした話は風水の本質ではなさそうってことは理解いただけるんじゃないかと思います。

 ちなみに「気」、あるのかもしれないけど見えないしうさんくさいよなあ、、、。そう思ったあなたは私と考え方が似ているかもしれません。

風水と世界の企業、著名人

 世界を見渡してみると、じつは経営に風水理論を取り入れている(社屋等の建築の際などにアドバイスを求めている、又は専属の風水コンサルタントを雇っている)とされる企業はたくさんあります。

 たとえばコカコーラ、ナイキ、マイクロソフト、アリババ、IBM、ディズニー、ドリームワークス、スターバックス、メリルリンチ、フォード、ヒルトンホテル、シドニーのオペラハウス、シンガポールのマリーナベイサンズ、ラスベガスのベラージオホテルなど、、、。そうした情報がオープンになっている企業、建築だけでもそうそうたる名前が続きます。

※たとえば1993年設立のヨーロッパの風水機関、The Feng Shui SocietyのHPでは、自身らがコンサルタントとなった企業名を超有名企業を含めて複数社公表しています。

 ちなみに風水そのものの利用は不明ですが、インドの修行寺で数か月間の時を過ごした経験のあるスティーブジョブスだけでなく、グーグルの創業者ラリーペイジやフェイスブック(現メタ社)の創業者マークザッカーバーグらもまた東洋思想に魅せられていることは有名な話です。

 政治の世界においても、1990年代に治安の悪さなどから評判の悪かったニューヨークを観光都市として再興させるため、ジュリアーニ元市長がタイムズスクエアの再興計画に風水コンサルタントを利用していたり、トランプタワーも風水を利用して設計されていることは書かせていただこうかと思います。

 こうしてネット上に名前がすでに挙がっているものの他にもたくさんの経営者や政治家、著名人が風水コンサルタントを雇っているようです。割合までは不明ですし名前を出すことはしませんが日本も例外ではないんですよ。

 こうして風水が事業家たちに受け入れられるのは純粋に「結果を出してきたから」だと考えます。どれほど理論が優れていたとしても、目に見えないものに対する技法が生き残るためには何かしらの結果を出すしかありません。

 また、ドナルドトランプ氏の言葉にこんなものがあります。「君が風水を信じる必要はないが、風水は稼がせてくれるものだから私は取り入れている(you don’t have to believe feng shui , but i do it because it makes money)」。

 風水というものに向き合う際はこれくらいのスタンスでいいのかもなあと私は個人的に考えています。あくまでも「自分の金銭運や健康運といったものを向上させてくれる手助けになるものとして利用する」というもの。

 そうでないと、風水そのものや、風水を騙る悪徳占い師の言いなりになってしまいかねない。人生を委ねるようなことを求める人のことはあんまりむやみに信用しては怖いと思いますし、風水やその他の神秘学に人生の全てを委ねることはけしてお勧めするものではありません。

 自分の人生の助けとしてそれらを使うことはよいと思いますが、人生の舵を取るのはあくまで自分自身であるべきではないかと私は考えています。

 参考にネット上で情報が公開されている「風水を利用している企業や著名人」のうちである程度情報源に信頼がおけそうだとわたしが思ったものについては下記の記事に情報をまとめておきました。興味のある方は見て頂けたら。

風水は何をみるもの?

 ここからはもう少し具体的に風水のことを書いていきます。

 風水とは環境が人間に与える影響を推し量るための理論だといいました。その風水が扱っているものには、大まかにわけて「目に見えるもの」と「目に見えないもの」の二つがあります。

 「T字路突き当りの家は風水上悪い」、「三角形の土地は風水上悪い」。こんな話を聞いたことはないでしょうか?

 そうした目に見えるもの、例えば自宅の周囲の山や川といった自然環境、自宅の周囲に存在する建築物、また道路の形状、自宅から見ることのできる眺望、また自宅そのものの形状に加えて室内の部屋の形状やドア、家具の配置、あるいはカーテンの色などのことを風水では「巒頭(らんとう)」と呼びます。

 そうした目に見えるものから建物の使用者がどのような影響を受けるのか、それが風水の一つの側面です。

 それに対して風水が扱う目に見えないもののことを「理気(りき)」と呼び、いわゆる気の流れ、エネルギーの流れを推し量るというものです。この巒頭と理気の両方が風水にとってはどちらも非常に大事なものです。

 言い換えるなら、建物の周辺環境を抜きにして風水が良い物件などというものはあり得ませんし、逆に建物の周辺環境のみから風水のよい物件を判断することも不可能です。

 なお、理気を判断するための技法として私がメインで使用しているものは玄空飛星派(フライングスター風水とも言われます)といわれる流派のものですが、その特徴は「一件の建物における吉方位、凶方位は建物ごとに異なるものであり、時とともに運気の善し悪しは移り変わるものだ」というところにあります。

 すべての建築物に等しく良い効果をもたらす玄関の向きは存在しませんし、どんな建物であれ永遠に風水の良いものは存在しません。それはあなたの周りで見ることのできる個々人の人生や各企業の盛衰を考えてみても明らかなことではないでしょうか。

 そしてそれらの技法で風水が見る対象はその建物が住人や従業員などに与える「人間関係運・健康運・収入運」の影響がメインとなります。それらの善し悪しを鑑定し、悪いものはできる限り改善できるよう、良いものはより良く向上させるための技法が風水だというわけです。

風水が良ければすべてうまくいくのか?

 結論から言いますと、風水はすべてを解決できるわけではありません。風水というのは持って生まれた命運や運気の流れに勝つことはできませんし、当然ながら個々人の行動によっても結果は大きく変わってくるものです。

 中国にこんな言葉があります。「一に命、二に運、三に風水、四に積陰徳、五に読書」。

 一番はその人が持って生まれた宿命、二番にそのときそのときの運気の善し悪し、三番に風水で見ることのできる環境、四番に人目につかないところで善い行い(徳)を積むこと、五番に読書、それらが人生に大きな影響を与えうるものだということです。

 個々人の持っている命運の内容はそれぞれ違うものです。そうしたものを読み解く中国の技法は四柱推命ですが、風水はそうした個々人の運勢の善し悪しを逆転することはできないとしているわけです。ですので実際には風水の影響が見えやすい人もいれば見えにくい人もいるというのが実情だと私は考えています。

 ただしこの言葉の裏を返すと一番目、二番目に当たる個人の命運は個人の意志で変えることができないものであるため、個人の意思によって人生を変えうる影響のある一番大きなものは住環境であると解釈することもできようかと思います。中国においてはそれほど環境から人間が受ける影響は大きいものだと考えられていたと。

 とはいえもちろんのことですが、どんなに四柱推命における命運や自宅の風水が良かったところで、自身の適切な意思決定と努力のもとに行動を起こさないことには結果は伴うものではありません。素晴らしい命運と風水環境を併せ持った事業家も自宅で引きこもって何もしないことには何を成せるものではないですから。

 ちなみに、まったく関係ないですがこの言葉の中で「人目につかないところで善行を積むこと」というところが私は好きです。他人から称賛を受けたいがために行う善行は結局自分の損得のためですので。人目につかないところで誰かを喜ばせることができる人はほんとうに素敵な人だなあと感じます。

このサイトで伝えたいこと

 そんなわけで、このサイトでは「この財布を買えば金運アップ!」だとか「このパワーストーンさえあれば運気爆上げ!」みたいなわかりやすくお手軽なことは言いません。

 むしろそうしたものが風水だと思っている方に「なにか違うかも」と考えていただくことはこのサイトを立ち上げた一つの目的です。声の大きな人の言葉やわかりやすい言葉が真実とは異なることは往々にしてあることです。

 ただ、その代わりにきちんとした中国の伝統的な風水で言われていること(、、、のうち伝えられることだけです。すみません)をなるだけわかりやすく伝えることができたらと思います。

 なお、私の使用している玄空飛星派の技法は本場といわれる香港や台湾はもとより、欧米諸国においても信用を得てきているいま世界で一番信用を得ている風水理論です。

 まずはお金をかけないでできる範囲、簡単に自分で見れる範囲で実践してみる、あるいは周囲の方々の自宅を同じ方法で見てみたときに信頼することができるかもと思えたならそのときにお金を使って専門家に依頼をしたらいいんだと思うんです。

 あるいは、これから引っ越しや新築を考えている方、新しく商売を始めようとしている方、あるいは引っ越しをして以降生活に不調を覚えている方などは風水の悪影響を受けている可能性があるのではないかと考えます。私が伝えたい風水がそうした方々の助けになることができればと考えています。

 はじめのうちは風水について重点的に記事を上げていきますが、後には四柱推命についても記事を掲載していく予定です。また見ていただけたら嬉しく思います。

 それではこの記事はここまでです。他の記事ものぞいていただければ嬉しいです。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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