悪意の風水について(香港風水戦争と加門七海氏「三角マンション」)

 世の中に風水の良い物件を作ろうとする人々がいる陰には、「他者を貶める目的で悪い風水の物件を利用しようとする人々」が存在します。

 ここではそうした例と考えられるものを二つ、香港風水戦争と加門七海氏が著書で紹介した三角マンションについて紹介します。

目次

香港風水戦争

 一つ目は風水業界の超有名事案、香港風水戦争と呼ばれるものについてです。上の写真中央における鋭利な建物は香港島の中国銀行タワーです。

 文化大革命により中国本土の風水が廃れて以降香港や台湾は風水の本場となっており、住居や事業用ビルの建築において風水が利用されているケースは非常に多いです。

 そして香港は1997年までイギリス統治下にあり、イギリス統治時代から現代に至るまで繁栄した街であることは周知のとおりですが、風水的な視点から見てもその島全体に龍脈が流れる吉祥の地、俗にいうパワースポットとされているところです。

 そうした中で英国資本の香港上海銀行(HSBC)が1985年に中国政府直轄の中国銀行の西隣に、中国銀行を威圧するかのような超高層の社屋を建てたことに話は端を発します。

 左手の写真の右側と、右手の写真に映っているのが香港上海銀行(HSBC)です。

 香港上海銀行(HSBC)は香港紙幣を発行している大銀行の一つで、世界中の投資家からも人気があり、一説では日本人の投資家も20万人以上がHSBCに口座を開設しているとか。

 HSBCにおいても風水をガッツリと利用した設計がなされています。

 そしてそのHSBC本社ビルの設立を受けて、中国銀行は1985年から新社屋の工事に入り1990年に俗にいう中国銀行タワーを完成させましたが、その姿は光り輝く鋭角な刃物のようであり、中国銀行側が意図してか意図せずかその刃先はHSBCと香港総督府の方面に向けられていました。

 大きな建物の角が自身の使用する建物に向かってくることは「壁刀煞(へきとうさつ)」と呼んで忌むことは以前の記事「風水が教える選んではいけない物件10選(周辺環境編)」で述べたとおりですが、ここではガラス貼りのような大きな建物が太陽光を反射することで生まれる「光射煞(こうしゃさつ)」もまた周囲に凶を振りまいているのではないかと言われています。

 結果として何が起こったかというと、HSBCの経営においては中国銀行ビルの完成から数か月後、HSBC の株価は 6ポンド (9.74 ドル) から史上最低の 3.74 ポンドまで下落しました。

 また当時の香港総督(イギリスから派遣されていた香港統治の責任者です)は中国銀行ビルの建設開始後に心筋梗塞により総督在任中に他界、さらにその後任も心臓発作により手術を受けることとなりました。

 その他にも、三角形の角の一つが向かっていたリッポーセンターは中国銀行ビルの建設後に経営破綻に陥ったとされています。

 そうした状況から中国銀行はその建築様式に多大な批判を受け、悪い風水を緩和させるための追加工事を行うなどし、またHSBCも中国銀行からの悪い気を跳ね返すため屋上に大砲に模した窓ふきゴンドラを配置するなどしたとされています。

 そうした中国銀行の建築の背景には香港の繁栄を良しとしない中国共産党政府が風水によって香港に対して攻撃をしかけたのではないかと推測されているのが世にいう香港風水戦争です。

参考HP:ウィキペディア「香港総督」

China Daily「Central’s war of winds and waters」(英語HP)

Culture Trip「6 Times Feng Shui Influenced Hong Kong’s Skyline」(英語HP)

加門七海氏の「三角マンション」

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 加門七海氏はオカルト界隈で有名な作家さんで、この「三角マンション(三角屋敷)」については加門氏の「怪談徒然草」に収録されている加門氏の実話体験とされている作品で、その概要は次のようなものです。

 加門氏の友人が三角形のマンションに引っ越しをした後から様々な悪い現象に悩まされ、そのマンションを訪れた加門氏自身もマンションに入るなり体調不調を感じ、友人宅で頂いたご馳走も戻してしまうほどであったと。

 マンションにも不思議なところが多々あった物件で、地下のトランクルームには階段とエレベータが通じているが階段はいつまでも閉鎖されており、屋上もあるが立ち入り禁止。

 インターホンや備え付けの家具の配置も不自然で使いづらいところが多い。加門氏のツテで様々な専門家に鑑定を依頼したところその専門家から次のようなことを言われたと。

 「この物件は所有者である中国人が、風水や呪術的な建築に関して規制の無い日本で風水や蟲毒(こどく)などの呪術的な悪い効果をもたらすものをかき集めて建築した実験施設だ。対策などは無いからすぐに引っ越すしかない。また、そうした連中にはけして関わってはいけない」。

 それを受けて加門氏は家主側と思われるものからの妨害や警告を受けながらもその友人をマンションから引っ越しさせるため奔走した、、、というお話です。

 なお、このマンションに住んでいた友人は霜島けい氏という作家さんで、入居者本人側から見た当時の出来事のことは「日本怪奇幻想紀行 (6之巻) 奇っ怪建築見聞」で書籍化されています。

 この話はネット上で様々な議論がなされていて、該当のマンションは東京都内のとある物件だろうと特定がなされています。なお現在はもうビルの所有者が変わっているとのことですよ。

2023年6月、香港を訪問しました

 2023年6月に風水の勉強のために香港を訪れました。

 この物件についてはたしかに光射煞(こうしゃさつ)もまた周囲に煞(悪い気)を振りまいているものではあるが、この建物を特徴づける鋭利な刃物の刃先は、実際にはHSBCでなくて香港総督府のほうを向いている、とされるお話があります。

 たしかに位置関係を確認すると中国銀行タワーの刃先は北東方面に向かっており、真東の方角に位置するHSBCとは方向が異なります。

 この写真の右手に映っているのがHSBCで、中央の中国銀行タワーの刃先は写真右側を向いているのがわかるかと思います。では最も鋭い刃先は何の建物に向かっているのでしょうか。

 写真ではわかりづらいかもしれませんが、刃先の向かってくる方角から中国銀行タワーを見上げるとその刃の鋭さに驚きます。

 この方角の先にあるのは、香港総督府です。

 周囲を木々に囲われて非常に見づらいですが、香港総督府の建物がこちらになります。

 この建物において居住していた当時の香港総督が在任中の1986年に心臓発作により死亡、代理としてその後職に就いた総督は風水を知っていたためこの物件に住むことを拒み、1987年に正式に後任の香港総督はこの物件に住んでいたがその方もまたこの建物において心臓発作を起こしている、というのが事実のようです。

 なお、この建物を取り囲む樹木群については、前任の総督たちの不幸続き(と地元香港での風水の悪評)を恐れたバッテン総督が迫りくる中国銀行タワーからの尖角が目に入らぬよう植えたもののようです。

 ただしその後バッテン総督自身も心臓手術をするに至ったとのことで効果はなかった、、、というのも五行を考えればありえる話で、迫りくる尖った三角形は「火」の象意を持ちます。

 それに対抗するために「木」を植えたとしても木は火をサポートするもの。火を制御するのは水や土の五行になりますから。

 この事案に関しては勘ぐってしまうと当時の中国政府がイギリス統治を嫌っていたことは確実でしょうし、中国政府が香港総督を攻撃する理由はいくらでも考えられるため、そこに悪意がなかったのかというとなんともいえないところですが、、、。

 真実はもはや明かされることはないのでしょう。

おわりに

 香港風水戦争はまだしも、怪談作家さんのお話というやたらオカルトじみた話を出して恐縮です。

 実際加門氏の話がすべて真実である保証は正直ありません。ただし、こうした建築が存在している可能性はやっぱりあるよなあとは考えています。

 また香港風水戦争についても、あくまでも偶然の一致と片付けることは簡単ですし、おそらくこの種の話題は国単位クラスの統計を取らないことには実証のしようがないとも考えています。

 ただし、香港風水戦争で使われた煞は三角形の悪い気であり、三角形は「火」の五行に属します。五行思想において火は心臓を意味するもので、香港総督二人が相次いで心臓発作に見舞われていたことがまた世間をにぎわせた一因であることはお伝えしておこうと思います。

 人間の悪意についても、古くは敵国の用水路に毒を投げ入れる行為が行われていたことも、あるいはナチスドイツが捕虜の自国の医学の発展のためにユダヤ人を使って人体実験を繰り返したことも疑いのない事実だと考えています。

 人間にはそうした行為ができる心性が間違いなくありますし、風水が日本人の想像を遥かに超えて信用をなされている世界がある以上、こうした建築による実験がどこかで行われている可能性は否定できないのではないかと。

 とはいえ悪意などなくても悪い風水の物件は世の中にあふれていますし、こうした悪意の風水を過度に恐れる必要はないと私は考えています。そもそも実例が少ないと思われますしそれよりも日常にありふれた煽り運転や暴言、暴力なんていう悪意の方がよほど怖いですから。

 ただし、建築の世界においてもこうしたものが存在する可能性があるということだけは覚えておいて損はないのではないかと。その前提があるのとないので物の見方は違いますから。

 こうして風水がどのように建物やその周辺環境を見るかという問題についてはこのサイトでもいくつかの記事をあげさせて頂いており、ここで紹介した「壁刀殺」や「三角形のマンション」という問題については以下の記事で紹介する形殺に含まれるものです。

風水が教える住んではいけない/選んではいけない家・マンション10選

①周囲と比べて1軒だけ高層の物件、②周囲と比べて1軒だけ低層の物件、③四方が吹きっさらしの物件、④三角形の物件、⑤のこぎり型、L字、極端な長方形などの不規則な形の物件、⑥細長い物件が三棟以上連なった物件、⑦近隣建物の角が向かってくる物件、⑧玄関正面の枯れた樹木、⑨大型商業施設、神社などと入り口が対面になる物件、⑩玄関を開けた先が下り斜面や下り階段の物件+事故物件

 世の中の薬と毒は表裏一体ですし、祈る者がいれば呪う者もまた存在するだろうというお話でした。

 それではこの記事はここまでです。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 風水というのは、建物の周辺の環境が建物住人に与える影響と、建物が各々に持つ気の流れがどのように住人に影響を与えるかをを研究した学問だと考えています。

 この香港風水戦争や三角マンションについてはいずれも建物の環境が生み出す悪いものが関わるお話でした。「風水が教える住んではいけない土地20選」、「家・マンション10選」「間取り10選」などの記事にはそうした外的環境などによる形殺とされるものの例を紹介しています。

 そしてわたしがメインで使用している建物の気の流れを測るための技法は玄空飛星派といわれるものですが、その中で壁刀煞に該当していた物件の鑑定例の記事は「鑑定例③」の記事にまとめてあります。

 また、この記事でも書いたように2023年6月に香港を訪問してきました。その際に香港随一のディープスポットと言われる安宿の集合する重慶大厦(チョンキンマンション)というビルの様子を見てきました。雑記文、あるいは香港に渡航予定の方向けの記事ではありますがそこでも悪い風水の例としてかんたんな鑑定例を載せています。

 それらの記事も読んでいただければ嬉しく思いますよ。

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