風水は今から四千年以上も前の古代中国においてはじまった陰宅(お墓)の周辺環境、つまりお墓のある土地環境がどのような影響を子孫にもたらすのかという研究がその大元です。
そこから風水はさまざまな発展を遂げており、「住宅の周辺環境や宅内の配置という目に見えるもの(巒頭=らんとう、と呼びます)」と、「目に見えない気の流れ(理気=りき、と呼びます)」を重視するものに進化を遂げていますが、そのどちらか一方だけで風水を語ることはできません。
理気を確認するための技法としては日本の家相学であったり、建物を住人の生年と合わせて八つの分ける「八宅風水」というものなども該当しますが、私がメインで使用している技法は中国文化圏のみならず欧米諸国の富裕層にも広まっている「最強の風水技法」玄空飛星派風水(フライングスター風水)というものです。
この記事では中国風水が目に見える影響を論じる巒頭(らんとう)において、特に影響の大きいとされる土地選びについて注意すべき環境を次の20個紹介します。
土地における大きな凶殺は影響力が大きいとされるものです。あなたの周りでももし何かしらの悲劇的な現場をご存じならばこうした形殺に該当していないかどうか思い起こしていただけると土地選び、物件選びを考える助けとなるかもしれません。
・・・ちなみにですが、ここで玄空飛星派風水の話を挙げたように、このサイトで挙げている「凶を招きやすいとされている土地、環境、家、あるいは間取り」といったもののすべては、「それ単独で必ず不幸を呼ぶ」というような判断は行いません。あくまでもすべては全体の状況を判断してから行うものであって、これらのうちどれか一つに該当しているからすべてうまくいかない大凶の家なのだというような安易は考え方はけしてしませんので覚えておいていただけたら。
(ただ、実際にはここに挙げる周辺環境の問題だけでなく、目に見えない気の流れ(たとえば玄空飛星派風水など)も含めてとんでもなく悪い環境においては対処のしようがないものがあるのもまた事実ではあって、長く住めば済むだけその悪い環境からの悪影響は蓄積するだろうとも・・・それでも、そうした環境に住んだ全員が絶対に不幸に陥るとまで決めつけることは難しいだろうとわたしは考えています)
そしてこれらの問題を考える際にもう一つ大切なことですが、風水とパワーストーンなどのアイテムは全く理論の異なる別の話だと私は考えています。
理論の中で対処法があるものはもちろんありますが、たとえば「化殺のためには我々が販売するこのパワーストーンを置くしかない!」という口上で商売を行う業者を見たらまずは疑うべきだとわたしは考えています。
理論だけで判断のつかない、不可思議な力のあるものも中にはあるだろうとも考えていますし石そのものに不思議な力があるかもしれないというところまでは私も実はそう思っていますが・・・それ以上に自身が販売するアイテムの売り上げしか頭にない不実な業者はいると考えていますし、そうした中から誠実な方を見抜くことはほんとうに難しい。
それにひとつの形殺においても個々に状況は異なるものです。たとえば路冲殺一つとっても四車線道路が突き刺さるものと歩道だけの路冲殺で影響の規模が違うことは言うまでもありませんしそもそも方位によっても内容と凶意の程度は変わるものです。
だからこそそれらをまとめて「このアイテムを買えば大丈夫!買わないと不幸がやってくる!」だなんて話には無理があるだろうと私は考えています。
パワーストーンなどの全てを否定するつもりは毛頭ありませんが、そうしたアイテムを買う際には、「自分が信じるものを自分が選んで自分の意志で買う」のか、あるいは「相手の言い分を信じて買うしか選択肢がないと思いこまされた中で買う」のかの違いはとてつもなく大きいとわたしは思っていますよ。
ただ、もちろん風水を考えて家や土地を探すならこうした悪いとされるもののうち致命的なものは避けるべきだろうというのがわたしの実際の考えに近いです。
①T字路等の道路突き当りの土地、②カーブ外側の土地、③高速道路沿いの土地、④線路沿いの土地、⑤袋小路の土地、⑥三角形などの変形土地、⑦道路面と高低差のある土地、⑧崖に面した土地、⑨マンション等の巨大な建築物が直近にある土地、⑩二つのビルなどの隙間風の吹き付ける土地、⑪墓地&病院近くの土地、⑫変電施設、電波塔近くの土地、⑬ガソリンスタンド近くの土地、⑭直近にガラス張りの商業施設、自宅方向に傾斜したメガソーラーなどがある土地、⑮倒壊しかかった空き家、廃工場などが近くにある土地、⑯海沿いの土地、⑰背後もしくは左右に川が流れている土地、⑱埋立地などの軟弱地盤、⑲丑、辰、未、戌方位向きの土地、⑳近隣の山を切り崩したばかりの土地
なお、このサイトでは巒頭についてほかに「住んではいけない物件10選」「住んでいけない間取り10選」という記事をあげており、それらの記事で紹介している例は次のとおりです。
①周囲と比べて1軒だけ高層の物件、②周囲と比べて1軒だけ低層の物件、③四方が吹きっさらしの物件、④三角形の物件、⑤のこぎり型、L字、極端な長方形などの不規則な形の物件、⑥細長い物件が三棟以上連なった物件、⑦近隣建物の角が向かってくる物件、⑧玄関正面の枯れた樹木、⑨大型商業施設、神社などと入り口が対面になる物件、⑩玄関を開けた先が下り斜面や下り階段の物件+事故物件
①三角形の部屋など、いびつな形の部屋、②自室玄関またはベランダ直前から目に入る鋭利な三角形、③光の入らない部屋、④自室直下が駐車場、⑤自室直下が飲食店、⑥1階が階段のみの物件(テラスハウス等)、⑦間取り中央にキッチン、トイレ、お風呂、階段のある物件、⑧玄関を開けて正面にエレベーターや階段のある部屋、⑨自室玄関前が長い廊下、⑩タワーマンションなどの高層階(目安は10階?)
なお物件10選と間取り10選についてはこの記事の終わりにもリンクを貼っておきますのでよかったらあわせて見てみてくださいね。
風水が教える住んではいけない/買ってはいけない土地20選
風水でみる対象は建物周辺や建物の外形などの目に見えるものである「巒頭(らんとう)」と目に見えない気の流れである「理気(りき)」の双方があると書きました。
この巒頭と理気の問題について、理気においては様々な技法と観法が入り交じりますが、基本的に巒頭については流派による違いはあまり無く、様々な流派において概ね同じ見方をするものであり、巒頭が極端に悪い土地では、理気がいくら良い物件を立てても風水全体でみた吉物件となることはあり得ませんので土地の問題は非常に大きなものではあると理解いただけたら。
なお、北東方位の「鬼門」については下記の記事に自分の考えはまとめてありますが、中国風水において北東鬼門を忌むということはありません。方位の吉凶はその家一軒一軒ごとに異なるものですよ。
T字路等の突き当りの土地に建つ家「路沖殺(ろちゅうさつ)」
この路冲殺は、少し風水に興味のある方ならご存じの方も多いかもしれない風水でもっとも有名な形殺の一つです。
T字路突き当りが有名ですが、これはT字路に限らず道路が直線状に家に向かってくることを「路沖殺(ろちゅうさつ)」「木箭(もくせん)」「丁字路口(ていじろこう)」などと呼ぶもので、精神的な不安や混乱を抱かせやすい地形、また流血を伴う災いや突発的な不幸を暗示する地形として嫌います。
向かってくる道路が大きければ大きいほど、距離が長ければ長いほど、あるいは勾配が下り坂になってこちらに向かてくる場合などに影響が大きいとされます。
大きな道路を想定した場合、前方から車両が向かってくる様は見ていて気持ちのいいものとは思いづらいです。実際にこうした道路の突き当りで起こる追突事故などは誰しもがニュースで目にしたことがあるのではないかと思いますし、そうした潜在的な危険性を常に無意識下で感じ続ける家となると考えられます。
目に見えない気(=理気)の流れや道の向かってくる方位によって善し悪しはあり、道のある方位が適合する場合には迅速に福が舞い込むとも言われ一部の店舗においては好ましい意味を持つこともあるとする流派もある模様ですが、やはり運気の変動が激しい土地になると思われ、凶の意味は避けられるものではないためお勧めできるものではありません。
なお、似たものにY字路の合流部に立つ家がありますが、これも「箭刀煞(せんとうさつ)」と呼んでこちらも同じく嫌います。
ちなみにこの路冲殺の対処についてはたとえば塀などを設けて車両などの激突を物理的に避けるということも一つありますが、風水の思想の中では五行思想に則った考え方をするものです。
このことにはスタバ渋谷ツタヤ店の入っているTーFRONTの例が参考になるかもしれません。(スタバは風水を使用する企業として有名ですが、TーFRONTのビル建築そのものが風水理論に則ったものであるかどうかは不明です。運よく偶然にそうした建築となっている可能性は否定できませんので)
ここでは土地形状や建物の形状を金形に見立てて化殺として作用しているという大規模なものですが、このように化殺には五行理論を使用して金や火の五行を用いて木の五行である路冲に対して化殺を行います。
具体的にはこの路冲殺は「木箭(もくせん)」の別名が示す通り木の五行に属する形殺です。そのため木を剋す金や木の気を洩れさせる火の五行を使用して対処(化殺)を行うということです。円形は金の五行、三角形は火の五行に属すもので、それらの色としては白色、銀色、赤系統の色が該当しますよ。
ただし適切に化殺を行えばそれで凶を解除できるのかというとそうでもなく、化殺はあくまで対処療法にすぎませんので、選択肢があるならば初めから選ばないことが賢明で、そもそも規模の大きな路冲に一般住宅で対処するなんて不可能だと考えるべきです。
ちなみに路冲殺に対して木を植えて視界を隠すことは「木箭(もくせん)」の木の気を強めてしまうために逆効果となるため風水の理論においては禁忌です。
川や道などのカーブ外側に位置する土地に建つ家「反弓殺(はんきゅうさつ)」
風水においては川と道路は同じ種類の存在として捉えます。風水において川や道のカーブの外側は「反弓殺(はんきゅうさつ)」と呼び嫌います。川や道路の規模によって影響の範囲や大小は異なりますが破財や精神的なトラブルなどを暗示する形殺です。
治水が発達している現代では古来の川に対する見方と変化を生じているところは多数あるかと考えますが、たとえば古い時代においては慣性により川の外側が削られる土地であったことは明白ですし、道路で考えるならカーブの外側が車両が事故を起こしやすい箇所であることもまた明らかではないでしょうか。
あるいは夜間の車両のヘッドライトを考えればカーブの外側に位置する家は車両が通過するたびにヘッドライトで照らされる位置となるわけで、その方位に玄関や窓があればそうした光は日常の中で折に触れて目にすることになるでしょう。
車両が向かってくる方向に自分は住んでいる、いつか事故が起きる可能性があるかもしれないという認識はふだん意識しなくても無意識下に存在し続けるものではないかとも思います。
また、例えば自分が車を運転する際の出入りや駐車を考えても好ましいとは思いづらいですし、遊び盛りの子供のいる家庭ならば不要な事故の心配をする必要も出てくることでしょう。
可能ならば道路側に塀を立てるなどして車両追突の危険性や道からの視線を遮断する方が好ましいと考えます。
ちなみにこうした弓なりに曲がった川や道路のカーブ外側の土地を「無情の地」とも呼ぶのですが、弓なりになった川や道路のカーブの内側については逆に「有情の地」と呼んで尊びます。
・・・のですが、昨今の大雨による河川の氾濫を考えると川のカーブ内側についてはいいと言っていいのか迷うところではありますが・・・。
高速道路沿いの土地に建つ家「割脚殺(かっきゃくさつ)」「鎌刀殺(れんとうさつ)」
高速道路沿いの土地や家(あるいはマンション)は「割脚殺(かっきゃくさつ)」や「公路殺(こうろさつ)」と呼ばれるものでそうした騒音や振動を日常的に感じる環境はストレス要因となることは言うまでもなく、健康面の問題や破財につながる環境だと言われます。
中でも高速道路のカーブの外側に位置する(先に挙げた反弓殺を併発する)場合を「鎌刀煞(れんとうさつ)」と呼び、割脚殺ととても強化された反弓殺が両立した形になるものとして血を見る災いなども暗示するため特に忌みます。
車両の走行音は一定でなく、中には暴走に近い速度で走行する車両もあることでしょう。そうした騒音を昼夜問わず聞き続けることで無意識のうちに受けているであろうストレスがどれほどのものになるかは想像がつきません。
また、昨今あおり運転を行うようなモラルのない運転手が少なからずいることは自明でしょうし、夜間でもトラックなどの大型車両やハイスピードで走行する車両が増えることもまた頭に入れておいてよいと思います。
高速道路の事故について少し調べてみると首都高における2022年度の事故件数は8,393件とのことです。
首都高だけの数字でこの件数ですのでニュースにならない事故はほんとうに多いんですよね。
事故によっては周囲に車両の破片などが飛散することもあるでしょうし、事故発生以降の現場状況を想像するだけで騒音どうこうだけでなく気分がいいものではありません。
ちなみに高速道路でなくとも大きな道路が建物近くに位置し、車両が高速で走り去るような状況のことも嫌います。
前方であれば気が散じやすく財運に悪い、背面であれば上司や年長者からのフォローの断絶、左右であれば宅内の男性や女性に対する悪影響が出やすくなると考えられます。
参考HP:首都高速道路株式会社「事故・車両故障・落下物の現状について」
線路沿いの土地に建つ家「火車殺(かしゃさつ)」
線路沿いの家は風水では「火車殺(かしゃさつ)」と呼ばれて嫌われます。
高速道路の際に書いたように、電車のような巨大な鉄の塊が高速で自宅の近くを通り過ぎることは場の気の流れを乱すものとされて嫌われます。そのため、より高速で電車が通りすぎる線路沿いの方が凶作用は強いと考えられます。
建物のどの方位を線路が通過しているかによっても影響は異なりますが、たとえば建物前方なら財運が破壊された家だとみますし、建物後方なら目上の方からのフォローが断絶された家になる、そういった見方をするものです。
これらのケースを考える上で、電車が通過する際の騒音については言うまでもないことですが電車が通過する際には騒音だけでなく周囲に振動をもたらします。
地面の振動については住人に対しても住宅そのものに対してもよい影響があるわけはなく、風水においても「動土(どうど)」として忌み嫌われるものです。この動土においても、年によって凶作用が強く出る方位があると風水では考えます。
その他に線路と電車通過時の摩擦による鉄粉の被害や、ベランダ側に線路がある場合には電車乗客からの視線に気を使ってしまうかもしれません。
もっと言うならたとえば赤ちゃんがいる家庭で線路沿いの家に住んだ場合のことを想像していたければけして好ましい環境だとは言えないことはわかっていただけるのではないでしょうか。
なお、線路沿いの家の風水については「線路沿いの家は不幸を呼び込む悪い風水?」の記事に詳細をまとめておきました。よければそちらも参考にしてください。
袋小路の土地に建つ家「死巷屋(しこうや)」
いわゆる袋小路のことですが、風水では「死巷屋(しこうや)」「無尾巷(むびこう)」などと呼びます。外見のとおり「逃げ場がない」「発展性がない」を意味するもので追い詰められた状況を象徴、運気の阻害を意味するものです。
風水においては水や気の流れを重視するものですが、こうした物件においては水や気の流れが断ち切られてしまうものです。
たとえばこの道側から叫びながら強盗が襲ってきても逃げ場がどこにもないのは言うまでもないですが、もっと身近な例で言えばこの入口付近に道路で毎日たむろして遊び場にする子供たちがいたとしてても、毎週末道路で友人とBBQを行う隣人がいたとしても、道の入り口側に近隣住人の行動を監視するような方がいたとしても逃げ場はありません。
他に自宅に通る道が無い以上この道を通るしか選択肢がないわけですから、そうした状況に陥れば不要なストレスを受けることは言うまでもないことですよね。
加えてこの死巷屋についてははじめに書いた直線道路の突き当り(路沖)を併発することも多く、こうした死巷屋と路冲を併発している家はわりとしんどいお話も聞く気がします・・・。
もう一点、最後にも少し触れますが、こうした土地の場合、自宅に接する道が私道である場合もあるかと思いますが、私道は十年後、二十年後の修繕の際にトラブルを誘発する大きな火種の一つですのでご注意ください。
なお死巷屋は突き当りの家だけが該当するものではなく、突き当り付近の環境のことを指す言葉です。つまりこの画像で言えば、道路突き当りの家だけでなくてその左手の家も死巷屋に該当しますのでご注意ください。
三角形の土地「三角地」など変形土地
三角形などの変形した土地です。このサイトにおいて三角形の間取り、三角形の物件も凶として紹介していますが、土地形状においても三角形は嫌います。
三角形は風水の思想において「火」の五行に属する形ですが、この火の五行が強くなりすぎることにより神経質傾向、攻撃性による人間関係の悪化、あるいは心臓病といった諸々の悪い意味を持つ土地になるとされています。
また、この三角形の土地においては先に挙げたY字路の合流部、「箭刀煞(せんとうさつ)」を併発することも多いです。
ただし一定以上に土地の広さがある場合には三角形の先端の角の部分を駐車場として区画する、あるいは植樹などを行うことで台形のような形して使うことで回避もできるかと思います。
ただしそうした手の打てない狭い土地や、その土地に建った家は好ましいものではありません。三角形の形だけでなく極端に長細い形状の土地や旗竿地などにおいてもそこに建てることができる住宅も制限をうけるもので、実際に設計段階に入ってから後悔することもしばしばあるかと思います。
三角形の建物が悪いという話は「物件10選」の記事に書きましたが、下の「悪意の風水」の記事内には「三角マンション」と呼ばれる悪い風水の実験場として作られたという噂のある物件に関する話を書かせて頂いています。
ちなみに色々調べていると愛知県に「リアル呪怨の家」とも言われる「三角の家」という心霊スポットがあったようです。こちらはまさに三角形の土地に建てられた住宅であったようですね。
あるいは大阪在住の方はアメリカ村や西成区の三角公園を思い浮かべる方もいるかもしれませんね。すべての三角形の公園が同じ状況であるわけではないと思いますが・・・。
つまるところ土地も家と同じく、なるだけ安定した四角形の形が好ましいということです。三角地の他にも極端に長細い土地や旗竿地など、変形した土地は好ましいものとはされませんよ。
高低差のある土地「下陥屋(げかんや)」「牽牛殺(けんぎゅうさつ)」
土地の高低差については、風水においても好ましいものではありません。道のレベルから一定以上下がった土地に建つ家は「下陥屋(げかんや)」と呼ばれて陰の気が溜りやすく、身体面や精神面に悪影響を及ぼすものとされています。
これらの低い土地については日当たりの面で不利な場合があったり、大雨が降った際には泥水が自宅敷地に流れ込む可能性が高く、水はけが悪い土地であれば冠水の危険は否めません。
また、湿気がたまりやすい土地である可能性があるとも言うことができ、湿気が建物を傷める原因となることは言うまでもないことです。
そうした問題の他にも、自宅敷地からの排水に問題が生じる可能性があることは考えておくべきことだと思います。
自宅から出た排水を地上道路面に押し上げる必要がある土地だということは、排水のためのポンプを設置するコストがかかることも問題の一つと言えるでしょう。
では、周りの土地よりも高い土地はどうなのでしょうか。
周辺の土地よりも一定以上土地がもり上がった土地の家では「間取り10選」の記事にも挙げた、宅の前が下がっていく景観となる「牽牛殺(けんぎゅうさつ)」や「捲簾水(けんれんすい)」と呼ばれる「破財、子孫の断絶」といった意味を持つ風水に該当する可能性があります。
またこうした周囲よりも高い土地については土地の協会に擁壁があるケースも多いですが、当然ながら擁壁にも寿命というものはあるわけです。
擁壁に問題が出た場合には擁壁の管理義務は原則として高い方の土地を持つ方にあるものです。
いまが新しい擁壁を造ったばかりだといっても、数十年その土地に住むことを考えれば擁壁の修繕の時期はいずれ訪れることになります。それは土地を買った本人でなくて次の代に残るものかもしれません。
擁壁の施工費は数百万~それ以上ともなることもあり、高低差のある土地においてはこうした問題から発生する深刻な隣人トラブルを招く可能性があることは考慮に入れてよいのではないかと思います。
ただし、この周囲より高い土地に関しては周辺の土地形、また土地の広さなどにより必ずしも悪いとするものではなく、状況においては好ましい地形となっている場合も存在します。斜面の問題においてもお金をかけて土地を整備したり家の向きを考慮することで改善できる場合はあるかと思います。
崖に面した土地「懸崖屋(けんがいや)」
高低差のある土地に関連して、崖沿いの家は風水では「懸崖屋(けんがいや)」と呼ばれます。急斜面のがけ地に面した家においては気の流れの変化も急激なものになりやすく、不安定な生活を送る羽目になるといった意味を持つものです。
実際の生活を考えても、崖からの転落の恐れもあれば土砂崩れの危険性も否定できない・・・という中で好ましいものであるわけはありません。たとえば崖沿いの家に住んだ場合に、自分自身の問題ではなく将来的に子どもが遊んで転落する可能性が否定できないことなどは言うまでもないことです。
こうした崖沿いの土地に関しては、がけ地から一定の距離を置かないと住宅を建築できないという「がけ地条例」が地域により定められていることも多いです。そのため土地を購入した後に実際は住宅を建てることができなかったというケースも考えられますのでこれらの土地を購入する前にはそれらの情報に注意してくださいね。
また、これらの土地に建つ家の建築費用が高額なことは当然ですが、それはつまり数十年後に物件が不要となった際の取り壊し費用も高額になるということ。こうした撤去困難地に建つ空き家の撤去問題は数多いですよ。
次にこの崖沿いにおいては、崖っぷちの土地が危険であることもさることながら、崖の下の家というものも災害時の土砂崩れなどを考えるとあまり好ましいとは言えないと考えています。
がけの上であれ下であれ、それらの土地には擁壁が必要となるケースが多いのですが、その擁壁の管理義務は原則として上側の土地の所有者に帰せられます。
上の土地の所有者が擁壁を適切に管理してくれているか。また買おうとする土地についた擁壁は今後数十年、あるいはその先の生活を見越してそれに耐えうる強度を保ち、管理者は適切な管理を行ってくれるものなのか。
崖地については一定規模以上のところでは行政が管理するものもあるため行政管理のがけ地であればある程度管理は適切に行ってくれるものだとは思いますが・・・。
いずれにせよこうした崖沿いの土地は日常的な危険もさることながら長期的な管理の問題も絡む土地になることは確実になるかと考えます。
以下に高低差のある土地やがけ地などに関する情報で参考になりそうと私が感じたサイトのリンクを貼っておきます。
参考サイト:ハウスボカン「高低差のある土地に家を建てるためには?購入時の注意点を解説!」
石橋不動産「がけ条例(崖条例)の詳細とポイントのわかりやすい説明」
マンション等の巨大な建築物が直近にある土地
例えば一軒家建築のための土地探しの場合、直近に周りと比較して大きなマンションなどの建物がある場合、なんらかの形殺に該当する可能性がとても高いです。
風水において物件の背後と左右を他の物件に守られた環境を「四神相応」と呼んで尊ぶものですが、あまりに高層の物件が近隣にある場合、その巨大な物件が背後にあれば「上席の者からのプレッシャーに押しつぶされる」、左右であれば「家内の男性、あるいは女性が強くなりすぎる」といった意味を持つものになります。それが前方であれば視界を遮られるわけで、つまり財運に見通しの立たない家となりかねないと風水では考え、「嶠殺(きょうさつ)」などと呼ばれます。
また巨大な物件が近隣にある場合にはその角度によってその物件の角が自宅方位に迫ってくる「壁刀殺(へきとうさつ)」や大規模施設のエントランスと自宅玄関がぶつかり合う「虎口殺(ここうさつ)」などの形殺に合致する可能性もあります。
もっと現実的な話で考えても、自宅直近に大きな建物があるということは日照に問題が出ることもしばしばですし、自宅のベランダを造りたい方位にマンションのベランダがあることもしばしば。生活の中でマンション住人とベランダ越しに会うことも不要な気を遣うものです。
直近にそうした巨大な建造物がありそこに多数の人々が行きかう環境は防犯面で考えても不特定多数の人があなたの家の周辺をたむろしていても不思議ではないということで、彼らがやましい目的をもってあなたの自宅付近をたむろしているかどうかを見分ける術はありません。
ここに記載した内容はあくまで一軒家建築を見越したもので、逆に自物件が巨大であるならば小さな建物ばかりの環境で建てるのは好ましくないということです。風水は周辺環境との調和を尊ぶものだということですよ。
壁刀殺や虎口殺も含めてこれらの問題は「物件10選」の記事にもう少し詳しく書いてありますのでよければ参考にしてください。
二つのビルなどの隙間風の吹き付ける土地「天斬殺(てんざんさつ)」
二つのビルなどの大きな建造物に挟まれた細い空間は風が強まる通り道となるものであることは誰しもが経験のうちで知ることではないでしょうか。
こうした風の通り道の環境は「天斬殺(てんざんさつ)」などと呼ばれるもので破財、手術を伴う怪我や疾患を暗示すると言われます。
これはビルのみを指すものではなく、二つの大きな建造物のすきま風が差し込む物件と考えるべきものですが、自物件から見てこのビルの間に風を遮蔽する別物件などがある場合には該当しません。
日常的に強風を受ける環境は物件そのものにとって好ましくないこともさることながら、突風などが発生した際や台風などの風が強まる時期には近隣から木材や屋根材などが吹き付けられる可能性も否定できないものです。
なお、こうしたものはいわゆる「ビル風」と呼ばれるものに近い現象だと考えています。このビル風についてはいくつか種類があり、ビル風の中でも特に「谷間風」と呼ばれるものに該当するものですよ。
2棟の巨大な建造物に風がぶつかることによって負圧が発生して出口付近の風速が強まってしまうという環境に該当するものとなります。
参考HP:風対策不動産環境センター「ビル風の種類」
HEXAGON「建築デザイナー必見!ビル風コラム 第6回:「ビル風1」:強風現象と乱流現象」
墓地&病院直近の土地「獨陰煞(どくいんさつ)」
墓地については精神的な凶をもたらすものとして捉え、そうした墓地近くの家を「獨陰殺(どくいんさつ)」と呼びます。
風水においてはお墓を陰宅と呼び、居住用の家屋を陽宅と呼びます。陽の場所であるべき居宅に陰の気が混ざり合うことで好ましくないということです。
墓地が日常の中で目に入るということそのものが良くないことなのですが、墓地が直近にあるということは喪に服す親族を目にする機会、読経の声が日常で聞こえる機会がそれだけ多くなるということ。
また、お墓近くの家に似たものとして葬儀場や火葬場、あるいは病院の近くに住むこともまた嫌います。
たとえば救急指定病院近くの家に住んだ場合、昼夜を問わず救急車が近くを通ることは想定されますし、そうした際には危篤を聞きつけて急いで走る親族もまた数多く、霊柩車を見る機会も増えるということです。
そうした環境の中ではどうしても気持ちが沈んでしまうことも出てくるのではないでしょうか。
変電施設、電波塔近くの土地「電磁殺(でんじさつ)」
変電施設や電波塔などの近くの環境については風水で「電磁殺(でんじさつ)」や「火殺(かさつ)」などと呼ばれ健康問題などを引き起こしたり精神不安につながるものとされています。
こうした施設の周辺土地は相場より安いことが多いかと思いますが人が避ける土地だから安いという単純なお話です。高圧電線近くの物件も同じことですよ。
例えばLIFULHOMESの記事などを見ていますとスウェーデンやドイツなどの国では、電磁波は人体に影響があるものとして基準や規制が設けられているとのことです。
こうした強力な電磁波による人体への影響について「電磁波過敏症」という民間で言われる用語があり、そうしたものでよく言われることとしては「頭痛、吐き気、倦怠感」といった短期的で軽度のものから「小児白血病」「発がん性」といった重篤で長期的なものまで存在します。
発がん性という問題に関しても、WHOの外部組織である国際がん研究機関(IARC)という組織の2019年の分類によればこれらの電気設備については4段階評価で「人に対して発がん性があるかもしれない」という分類に定義されており、けして高いリスクとは言えないもののリスクの除外はし切れていないというところだと見受けます。
いずれについてもこれらの問題は記事執筆時点では正確な因果関係が証明されているわけではないために必ず忌避すべき、とまで言えるものではないかもしれませんが・・・
少なくともそうしたものが気になる方は住み続けることで不要なストレスを受けることになりかねないので、選択肢があるうちは初めからこうした土地に住むことを選ばないことが肝要です。
これは変電施設などのみの話ではなく、PCや電子レンジ、あるいはスマートフォンといった身近な電化製品においても考えるべきことなのですが、変電施設や電波塔尾がそれらよりも大きな影響を持ちうることは明らかなことかと。
この問題を考えるにあたっては、そもそも人体の神経伝達は電気刺激によって行われるものであり、特定の電気刺激が人体の行動、神経活動に影響を与える可能性はあるのじゃないかとわたしは考えていますし、玄空飛星派などにおける建物内部の気の善し悪しは明らかに地磁気が人間に与える影響に対する研究だとわたしは考えていますので、その磁気に影響を与える電磁波が好ましいわけがない、というのがわたし個人の考えです。
参考記事:LIFULHOMES「電磁波の人体への影響は? 住まいの電磁波対策について聞いた」
関西電力送配電「電磁波:国際がん研究機関(IARC)の見解」
ドモシカハウス「電磁波”による体調不良。「電磁波過敏症」について解説」
ガソリンスタンド近くの土地「油氣殺(ゆきさつ)」
ガソリンスタンド近くの土地については「油氣殺(ゆきさつ)」「加油站旁(かゆてんぼう)」などと呼ばれ、精神的なストレスや身体不調に繋がるものとされています。
ガソリンが揮発性物質であることは言うまでもないことですが、この気化したガソリンは「ガソリンベーパー」と呼ばれるもので揮発性有機化合物(VOC)を含みます。
またこのガソリンベーパーは太陽光と反応することによってPM2.5(微小粒子状物質)や光化学オキシダントの原因物質を発生させるとも言われるもので、その影響は特に小さいお子様や高齢の方などに大きいとも言われます。
ただし参考として、このガソリンベーパーの問題については、現在業界全体でこのガソリンベーパーの排出を抑制する仕組みを備えた給油機を促進していくとの流れがあるとの情報もあります。
その給油機ですべての問題が解決するのかはなんとも言えないところではありますが、こうした情報の有無は近隣のガソリンスタンドのオーナーがどのような経済基盤を持って環境に対してどのような姿勢で向き合っているかを判断する基準となるかもしれません。
やはり気持ちがあってもお金が無ければこうした機器の導入は困難でしょうし、自宅付近のガソリンスタンドが破綻した後はその跡地の状態がさらに汚染される可能性が否定できないわけですから。
また24時間営業のスタンドであれば夜間に車ドアの開け閉めの騒音や施設からの光が気になるかもしれませんし、もっと言えば事故などがあった際の爆発の可能性はどうしても否定しきれるものではないので安心な環境とは言い難いのかもしれませんが・・・。
住環境を考える上ではできたら避けた方が良いもののひとつではないかなと考えます。
参考HP:東京都環境局「VOCとは?」
KURUKURA「ガソリンベーパー問題の最前線を特集。(1/4)」
直近にガラス張りの商業施設、自宅方向に傾斜したソーラーパネルがある土地「反光殺(はんこうさつ)」
つぎにこちらです。自宅の直近に太陽光が反射するガラス張りの商業ビルなどがある場合、時間帯などによって光が自宅方向に差し込む物件のことを風水では「反光殺(はんこうさつ)」や「光射殺(こうしゃさつ)」などと呼び、精神的不調などを引き起こすものと言われます。
太陽光の反射により生活に不便を覚えることもあるでしょうし、場合によっては建物を傷める原因ともなるでしょう。あるいはそうした反射光をもたらす物件の所有者などに対するストレスを日々抱えて生活を送ることになるかもしれません。
最近で言えば多量のソーラーパネルがある土地も多いことかと思いますが、これらのソーラーパネルが傾斜した先の土地においても同じ問題は発生するものだと考えています。不要なストレスから神経質傾向を持たせやすい土地となるということです。(向かいの住宅一軒程度の問題なら気にするほどでもないかとは思いますが)
これに類似したものに電飾の過度な遊戯店などを含めることができるかもしれませんが、それが悪いことは言うまでもありません。
例えば直近にパチンコ店がある場合に騒音や夜間照明の問題もさることながら、遊戯で負けた後の客層が悪くなることは言うまでもなく、帰りの運転が荒くなる方もいることでしょう。
そうした情景を日常的に目にする可能性を考えたらそれが住環境として好ましくないことは容易に想像がつくかと思います。
ちなみに日の光が差し込まない物件は「間取り10選」や「うつ病になりやすい間取りを【変な家】から考える」の記事などに書いたように、陰の気が強くなり好ましくないことは言うまでもないことです。大切なのはバランスだということですよ。
倒壊しかかった空き家、廃工場などが近くにある土地「破敗屋(ははいおく)」
これは購入したい土地の近辺に倒壊しかかったボロボロの空き家や廃工場などがあるケースで、風水で「破敗屋(ははいおく)」などと呼ばれて近隣住民の精神面や財運に悪い影響を及ぼすとされるものです。
たとえば自宅の前方にこうした廃屋、廃工場といった建物が存在する場合、日々の生活の中でこうした物件を目にする機会は増えるわけで、その景観が好ましくないことは誰の目にも明らかではないでしょうか。
また、こうした空き家や廃工場は台風などの強風の際に屋根瓦が飛んでくる危険性や、いたずら目的の放火の対象となる危険性やホームレスの方が住み着く可能性、また空き家が放置され続ければいずれ倒壊する危険性が否定できないものです。
倒壊が明日なのか10年後なのかはわかりませんが崩れるときは一瞬で崩れます。私自身も行政職をしていた折に現場仕事の多い部署では年に数件程度のペースで空き家が倒壊して道路を塞いでしまった例を見ていました。(空き家対策の直接の担当をしていたわけではありません。直接担当をしている方はおそらく私の数倍以上の例は見ているのではないかと思います。)
行政による代執行での取り壊しは「行政からの呼びかけに応じず取り壊しを行わない、あるいは行えない所有者が行うべき取り壊しを行政が立て替えてその所有者から取り壊し費用を請求する」ということですから現状の日本ではあまりにハードルが高いと考えています。
代執行が慣例的に多数行われるようになれば、自身での費用負担を避けるために代執行されるまで空き家を放置するケースが増えることは明らかですので行政は簡単に代執行に手を出せないジレンマがあるというところです。極端な話、「すべての住宅撤去を税費用で負担する」くらいの大幅な法改正が行われるなどしなければこの問題は解決されないのではないかと考えています・・・。
ご参考に東京都内の空き家の総戸数はH25年時点で約82万戸とされており、そのうち腐朽、破損のある空き家が16万戸、さらにそのうち長期不在のものは約4万戸とされています。
ですからこうした土地は選択肢がある時点で購入しないことが賢明です。
参考論文:東京都住宅政策本部「空き家の現状と取組み」
海沿いの土地「海波浪水(かいはろうすい)」
海沿いの家。とても素敵だと思うのですが・・・風水において外海に面する家は「海波浪水(かいはろうすい)」と呼ばれて好ましくないものだとされています。
またいわゆるオーシャンビューのような、大海を望む家ということに限って言えば先に挙げた崖沿いの物件「懸崖屋(けんがいや)」を併発することも多いです。
わたし自身海沿いの田舎町の出身なのですが、この海沿いの土地(あるいは家)が好ましくないという問題は、実際のそこでの生活を知る身からすれば納得の話です。
外海沿いの土地に関しては、年々大きくなっている台風の際には、波が岸壁などにぶつかって高さ十数メートルを優に超えて波が飛び散る土地となります。
海沿いの土地では岸壁や堤防にぶつかる台風時の波の轟音を聞くだけでも正直いまだに怖さを感じますし、そもそも台風真っ盛りの海沿いの土地に仕事の現場周りで訪れた際に「立って前に進めない」という漫画みたいな体験をしたこともあります。(いちおう足を負傷していた時期ですが)
その飛び散る波が塩水であることは言うまでもないことですがこの塩分が建物外壁や車両などに与えるダメージは塩害と呼ばれるもので、例えばこうした海沿いの土地向けのエアコン室外機などは容易にサビが付着するために塩害対策の加工をしてあるものがほとんどです。
たとえば台風の後には住宅全体や車両を水道水で洗って塩水を洗い流す光景がそこかしこで見られるのが海沿いの土地であるわけですが、その手間をかけて塩水を洗い流すのは放置すれば住居へのダメージが深刻だということを理解しているからだというわけです。
もちろんこうした問題は台風の時だけの話ではなく、潮風という言葉があるように海沿いの土地には季節や時間帯に応じて海側からの風が吹くものですが、その海からの風は塩分と湿気を含むもので、海の景観を楽しむということはこれらの塩害や湿気を持った強風との生活の共存を意味するというところです。
こうした海沿いの土地における塩害や風害を守るために多くは松林などの保安林が設けられているところも多く、そうした情景を目にしたことがある方も多いでしょうし、こうした保安林は行政が公費で管理するものも多く、防風などの理由があるために公費をかけて海岸沿いの保安林を管理しているということです。
宣伝写真で見る素敵な景観のみで海沿いの土地を選ぶのは危険ですよという話です。
参考HP:LIFULHOMES「海辺の家を購入する前に「塩害」に関する正しい知識と準備を」
SUUMO「海の近くに家を建てるとき後悔しない注意点と対策。塩害・津波・強風から土地選び・塗装・太陽光発電の設置可否まで」
背後もしくは左右に川が流れている土地「劫背水(ごうはいすい)」「穿臂水(せんひすい)」
では、川が周辺に流れる土地はどうなのでしょうか?
「四神相応と周辺環境の超基本」の記事でも触れましたが、建物の背後は貴人を、左右はそれぞれ宅内の男性と女性を、そして前方は財を象徴する方位となります。
建物の背後を川が流れていることを「劫背水(ごうはいすい)」と呼び、上司などの目上の方からのフォローが断絶し、かつ「背水の陣」という言葉が示すようにこれらも行き止まりに近い環境と呼べるものでしょう。
建物左右に川が流れていることは「穿臂水(せんひすい)」と呼ばれるもので、物件の左に川が流れているならば住人男性に対するフォローの断絶が意味されると考えますし、物件の右側であれば住人女性に対するフォローが断絶された環境であると考えます。
そして前方はどうなのかという話ですが、基本的な環境としては自宅の背後左右の三方が林や建物で囲まれて前方に開けたスペースの先にある川という環境は好ましいと呼べるものです。
ちなみに池や湖、河、道路環境においてはどの方位だから吉、凶という問題はひとまとめに論じることはできません。方位の吉凶についての問題は風水では「水法」と呼ばれるその宅ごとの物件とそれらの環境を見るための技法があり、その物件ごとに方位の吉凶は異なるものです。
たとえるなら「~の方位には~色のカーテンが吉!」という理論が私の使用する玄空飛星派の理論において「方位の吉凶と良い色はその物件ごとに違います」と説くのと全く同じ理屈です。
ちなみに・・・悪臭の漂うどぶ川や汚い沼などはどの方位であっても好ましくありません。明らかに不快ですので言うまでもないと思いますが・・・。
埋立地などの軟弱地盤「軟地屋(なんちや)」
次にこちらです。
当然ながら家を建てる土地の地盤の強度は大切な要素です。
たとえば沼や田んぼを埋め立てたような土地を考えた場合、その土地の地盤が軟弱なだけでなく、水が抜けにくく湿気が溜りやすい土地となる可能性は否定できません。湿気が家屋にダメージを与えることは言うまでもないことです。
ですからこうした埋め立て地についてはもともとの土地の用途がどのようなものであったのか確認するように努めた方が良いのではないかとわたしは考えています。
また地盤改良工事を行うとしても、自宅建物の下の地盤の強度が出せたとしても、自宅周辺の土地が軟弱、あるいは地震の発生時などで液状化を起こした場合に生活に支障をきたすことは言うまでもありません。
なお、液状化については各都道府県などで「液状化危険度予測分布図」というものも存在します。すべての地域に存在するのかどうかまでは確認していませんが国土交通省の「ハザードマップポータル」から確認することもできそうです。(ハザードマップのリンクについては後も貼っておきます)
最終的には住宅建築の前には地盤の確認が必要でしょうが、土地や住宅の購入前にこうしたものも確認しておくことをお勧めします。
参考HP:IIKOTO FOR WEB「土地探しの前に知っておきたい!軟弱地盤や注意が必要な地盤はこう見分ける」
ALL ABOUT「関東の液状化マップ集。埋立地や軟弱地盤は要注意【東京・神奈川・千葉・埼玉】」
丑、辰、未、戌の4方位に向いた土地「四金殺(しきんさつ)」
※図は北を下側に書いたものです。
最後の二つは風水による「気の流れ=理気」の範ちゅうに属するもので一般的な感覚では理解が難しいものかもしれません。
これらの「理気」に対する思想の根底には風水が説く「方位(と時間)による人間への影響」がベースにあるものとわたしは考えています。
なぜ人間がこうした影響を受けるのかは正直全く分かりませんが・・・人間も地磁気に対する感受性を持つ生き物だということが2019年に東京大学、カリフォルニア工科大学、プリンストン大学などの共同研究チームにより発表されたりしています。
ミツバチ、鮭、渡り鳥、あるいはシラスウナギなどの生物が地磁気により方位を感じ取ることは以前から言われていましたが人間もその例外ではないという話です。
もちろんこれらの研究はまだまだ黎明期と呼べるものでしょうからまだ今後の推移は見守っていく必要はあるのでしょうが・・・。
と、話を戻しますと、この理気に関する大凶のうちひとつめは「鬼門とは何か」の記事にも挙げた四金殺(しきんさつ、よんきんさつ)についてです。
四金殺は風水で使用する24方位の分割方位のうち丑、辰、未、戌の4方位向きの宅などが一定の道路、河川などの環境に合致する際に発生するもので、その意味は「悲惨な死、末期がん」など、とてつもなく悪い意味を持つ中国風水きっての大凶とも言うべきものです。
つまりそれは丑、辰、未、戌向きの土地を購入するとこの四金殺に該当する可能性があることを意味します。実際には土地だけの問題ではなく建物の方位や道路などの周辺環境にもより、四金殺そのものに複数のパターンがあるために一概には言えるものではなく、判断には水法の知識が必要なためここでは詳述はできませんが。
四金殺はいくつかのパターンがある中で、その中には対処が不可能なものも存在します。そのため、風水を信頼する方は知識を持った専門家に「確実に該当しない」と判断を受けない限りはこれらの方位に面する土地を買うことは避けた方が無難です。
参考HP:AERA.DOT「渡り鳥は数千キロも迷わずナゼ飛べる? 東西南北の方位を知る細胞を発見」
産経新聞「人間の「第六感」 磁気を感じる能力発見 東大など」
参考論文:東京大学「多くのヒトは地磁気に対する感受性を潜在意識下で未だに有している」
近隣の山を切り崩したばかりの土地「斬龍(ざんりゅう)」
最後にこちらです。
この斬龍については周辺環境というよりももっと広い土地をみるための地理風水の範ちゅうに属するもので、この斬龍においては周辺土地のすべてに殺気が降りかかるとする規模が大きなものです。
高速道路や新設線路、あるいは鉄道の新規路線の工事、宅地開発などで山を切り開くことがあろうかと思いますが、この環境は風水では「斬龍(ざんりゅう)」と呼ばれるものに該当することがあります。
風水の思想において山々は龍にたとえられるもので、その龍の生命力によって地勢の隆起が興り地理が形成されるものと説きます。
この種の思想は山岳信仰とも結びつけて考えられるとわたしは認識していますが、修験道や山伏文化のある日本はもとよりギリシャのオリュンポス山、スウェーデンのヴァルハル、オーストラリアのウルル(エアーズロック)、チベットのカイラス山、アメリカセドナのシャスタ山、ペルーのアウサンガテ山、エジプトのシナイ山など・・・挙げればきりがありませんが、古代の人間が山という存在を信仰、あるいは畏怖の対象としてみていたことは明らかです。
世界のほぼすべての文化圏でこうした動きがみられる背景には2つの可能性があると考えており、ほんとうにそうした自然物になにかしらの力が宿っているものなのか、それとも人間側がそうした自然物に神性を感じる心理的な構造を持った存在なのか。
「山には神様がいるのかも」という説に対して周囲の大多数が「そんなわけないだろ」と考えるならこんな文化が生まれるはずはないだろうってことです。(現代社会はネットがあって少数派同士がコミュニティを形成するのでそうとも言えないですが、当時は単純にコミュニティ内の多数派と少数派で議論がなされていたはずですから)
ちなみに自然との関係性が人間心理に影響を与えるものであるならそれを無視して人間の生活は語れないはずなので、結論はどちらにしても変わりはないものだとわたしは考えていますよ。
話を戻しますと、この斬龍においてはその生きた龍脈を切り離すことにより周辺土地の龍の気が暴れてしまうといった種類の形殺となります。
山龍をどのように見極めるかという点で判断は非常に困難ですが、単純な話をするならば山を切り開く、あるいは山脈を斬って線路や道路の開通があった後の土地には注意をするべきだということです。
こうした龍脈を断つという行為について考えてみると、14世紀の中国において明国初代皇帝朱元璋の軍師であり、諸葛亮孔明の生まれ変わりとも評される劉伯温が民国に他の偉大な皇帝候補者が出てこないように国内各地の龍脈を断ち切って朱元璋の一族のみが反映するように対策を施した、というような伝説もあるようです。
ちなみに諸葛亮孔明、劉伯温ともに風水の実践者としても有名な方で、劉伯温については四柱推命を学ぶ人のバイブルともいうべき「滴天髄」の著者としても有名です。(滴天髄が劉伯温の著作かどうかについては疑義もあるようですが)
同じように龍脈を断ち切って自分以外の一族から突出した者が出ないようにした逸話は秦の始皇帝や元の時代においても認められるようです。
また、日本においても調べてみると聖徳太子が鬼籍に入る前に自分の墓の位置を指定して、その自分のお墓の造成の際に「ここを切れ。かしこを断て。子孫あらせじと思ふなり」と語ったという逸話が兼好法師の「徒然草」に残されています。
当時の状況は不明であり本人の意図とどのような行為が行われたかはもはや調べようがないのかもしれませんが、これが自身のお墓周辺の龍脈を断ち切って子孫断絶を願ったとするなら話の意味が通じる気がします。
これら龍脈の話は明らかにわたしの力量を超える話となりますので詳述は避けますが、風水の根本にはこうした山脈に生命の営みを見るもので、それらが破壊されるときには子孫断絶に繋がるような悪い影響を周囲に及ぼす危険性があるものだと説くということです。
中国本土において風水思想が文化大革命により壊滅的となったことは幾度かこのサイドで書かせて頂いていることですが、たとえば近年の中国では三渓ダムの建設により龍脈が破壊されたことを嘆くネット記事なども見ることができますよ。
参考HP:徒然草(上)「第6段 わが身のやんごとなからんにも」
参考書籍:学研「風水の本」
(その他)土地境界、街の治安と近隣住民、ハザードマップ等
以上でひとまずこの記事で紹介するお勧めできない土地の紹介はおしまいです。
ちなみに、わたしは上にあげたような風水による形殺のほかにも、土地を買うなら下のようなものに相当注意します。
- その土地の過去の履歴
- 土地境界が不明確
- 建築基準法による接道ができていない(=住宅の再建築が不可能)
- 土地への接道が私道
- 自然公園法、文化財保護法等で規制のある土地
- 近隣住民の様子、夜間の治安面など
- ハザードマップの災害予測エリア
土地の履歴とは、過去にその土地がどのような使われ方をしてきているのかという話です。
少しオカルトじみた話しかもしれませんが自分なら神社の跡地や病院跡地、処刑場の跡地といったような場所に住みたいとは思わないですから・・・。
自分の生まれ育った地域ならそうした環境は周囲の方からの聞き取りで把握できる部分もあるのでしょうが、そうでない場合には古地図を調べてみたり不動産業者さんの知識なども借りながら確認するのも良いかもしれませんよね。
そしてもっと現実的な面を考えても、土地がらみのトラブルというのはほんとうに数多く、またそのどれもが根深くて解決に時間もお金もかかるものです。
たとえば境界があいまいな土地を買うと隣地所有者とのトラブルが発生する可能性が高いですしそうしたトラブルになるケースはたいてい隣地所有者の方は簡単に引くことはありません。
土地境界が確定した土地かどうか、それはほんとうに大切な話だと思っています。行政なんてやってたらこうした土地がらみ、金銭がらみの近隣トラブルは担当部署にいなくてもとんでもない数を聞いてしまうものですので・・・。
建築基準法による住宅の再建築不可の地域も言うまでもないことです。そうした土地に建つ住宅は長い目で見ればいずれ負動産になることが確約されたようなものですから。だからきっと現在の所有者も安くしてでも手放したいのだろうと思います。
最後に土地への接道が私道だった場合、その管理会社が仮に破綻した場合には道の管理者が不在という恐ろしい事態が発生します。田舎に行けばバブル期に造成されて今は無残に放置された新興住宅地の荒れた私道、またその管理でもめているところは多数あるかと思いますがそうした管理のなされていない私道はひどいものです。
管理者が不在で周辺住民による共同所有であった場合にも、道路というものもいずれ劣化をするものです。そうした劣化の際にどのように費用を負担して皆で工事を発注するのか。その協議を考えただけで正直いえば私はゾッとします。同じ程度で道路が破損するわけではないので、特定の家の前だけが劣化が激しいという状況の中でおそらくは数百万数千万円という金額の按分の協議をするわけですから・・・。
今ならそうしたケースはユーチューブなどで検索すればたくさん見ることができますし接道が私道である物件を買うときは最悪そのリスクがあることを把握したうえで買うほうが良いと考えています。
また、法令や条例による住宅の建築規制が入った土地に関しても言わずもがなです。こうしたものの多くは不動産業者さんは把握しているはずなので確認してみてくださいね。むろん自分で調べたうえでそれらの専門家に聞くことが大事です。
街の様子や夜間の治安面については実際に見てみないとなんとも言えないところではありますが、土地を買おうとするのならそうした確認は必須です。少しでも近隣住民ガチャのハズレを引く可能性は避けたいですから。
ご参考までにこちらは風水とは関係のない一級建築士さんの土地選びの動画ですが、この動画で説明頂いている内容は私から聞いてもとても同意しますし参考になるものだと思いますよ。
また、土地を選ぶ際には行政の出しているハザードマップの確認は必須だと考えています。
地震があった際の津波災害や、大雨被害の際の川などの氾濫予測範囲や下水の氾濫予測範囲、液状化危険予測区域など・・・これらの災害の種類ごとに地域のハザードマップは異なる種類がありますが、住みたい地域でどのようなマップが整備されているか確認いただいて物件選びの足しにしていただけたらと思います。
「市町村名+ハザードマップ」などと検索をかけたら該当サイトを見つけることができると思います。ご参考に国のポータルサイトのリンクを置いておきますね。
おわりに/情報の信頼性と参考書籍、土地や周辺環境だけですべて決まるわけではないというお話
ここまでに紹介したように、風水を考える上で土地の影響力というのはとても大きいものです。
また土地を決めればそこに建つ住宅の向きも束縛されるケースが多いため、風水を考えて生活の場を探そうとするならば土地選びからというものが鉄則です。
ちなみにこの記事にまとめたような周辺環境や住宅内部の環境における形殺については、日本でも数多く、また中国のサイトもすさまじい量の情報が溢れています。
ですがわたし自身は山道帰一先生の著作である「風水住宅図鑑」以上に情報のまとまった著作を他に知りません。というか中国語の本を探してもこの本以上に情報が見やすくまとめられて頂いている本があるのかどうか・・・?
山道先生は風水を学ぶために台湾に渡り、台湾の人間国宝である鐘進添老師や世界五大風水師筆頭の香港のレイモンド・ロー老師や台湾の人間国宝たる鐘進添老師らに師事した経歴を持つ日本で最も風水理論に精通した方だとわたしは考えています。(他記事でも紹介した「玄空飛星派風水大全の著者の方ですよ」)この記事の最後に挙げた四金殺や斬龍についても「風水住宅図鑑」も掲載されていますよ。
(ただし四金殺や斬龍について実際に判断するには水法や地理風水の知識が必要であるため市販本の知識だけで判断することは不可能ですが)
正確な知識を仕入れたい方は正確な知識を持つ方が書いている書籍を買うのが最も確実です。
土地選びはこうした風水を取り入れなくても大変なもので、良い土地を買うことはほんとうに大変なことだと考えています。また風水というものを真剣に利用すればハードルがさらに上がることもあり、そこまでして土地や住居を選ぶ人はそう多くはありません。
ですが土地、住宅選びに風水を活用する方が少ないということは、一般的な基準でみて良くなさそうでも風水の良い物件が残っている可能性があるということ。このサイトの情報がすこしでもその役に立てるならうれしく思います。
わたしは良い土地を選ぶことはその地域での生活、ひいてはその地域における生活の善し悪しを左右しかねない大切なことだと考えています。土地、あるいは家を選ぶのは誰もがよい人生を願ってのこと。
どうか素敵な土地や住宅が見つかりますよう。
そして、はじめにも書いたようにもしも今住んでいるご自宅がこれらに該当するのならば・・・ケースによっては引っ越しを薦めたい物件があるのは事実ですが、一つでも該当しているからどうしようもない大凶の家なのだと安易に決めつけることはどうか避けていただきたくも思います。
風水のみで考えてもここであげた周辺環境などの吉凶の他、玄空飛星派風水などで判断する気の流れという目に見えないものがあり、そして中国占術の根本的な考えとして、「一に命、二に運、三に風水、四に積隠匿、五に読書」という言葉が示すように風水そのものも運気というものを考える中では一部の概念に過ぎません。
中国占術の枠組みで考えても人の持って生まれた宿命やそのときそのときの運気の善し悪しというものがあり(それらを判断するための占術がたとえば四柱推命です)風水という個人がおかれた環境などから受ける影響があり、その個人が持つ人徳や意思、そして読書などによる個人の努力や知見の広さというものはすべて人生に影響を強く与えるものだと考えられているということですから。
ですからこれらひとつの概念だけを抽出して確実に不幸(あるいは幸運)が確約されるというのはそもそも考え方としてわたしは信じることが難しいものだと考えていますよ。
ともあれ、ここで挙げさせて頂いているような知識をうまく活用して良い住宅を選んで頂きますよう。
それではこの記事はここまでです。ここまで読んでいただきありがとうございました。
また冒頭に書いたようにこのサイトでは物件選びに関して、この記事のほかに「住んではいけない物件10選」「住んではいけない間取り10選」という記事や、風水を利用して物件探しをする際のわたしの考えをまとめた記事は以下の通りです。
これらの記事で扱っていない目に見えない気の流れに関する理論として、世界で最も信頼されている技法である「玄空飛星派風水」がどのようなものかについての記事なども書いていますのでよかったらそれらの記事も見てみて頂けると嬉しく思います。
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