フライングスター風水(玄空飛星派風水)において、建物内部の気の流れを図式化した飛星チャートを用いて実際の鑑定に使用することは前にお伝えした通りです。
その飛星チャートの中でも、特殊な意味を持つとされる例がありますのでこの記事ではそれらを紹介します。
この記事はフライングスター風水の理論をある程度把握している方向けの記事です。フライングスター風水について概要を知りたい方は先に「フライングスター風水(玄空飛星派)のあらましについて」の記事をご覧ください。
フライングスター風水(玄空飛星派)の特殊チャート「格局」等
フライングスター風水(玄空飛星派風水)においては建物内部を流れる気の流れを読み取るもので、その気の流れに沿った間取りを配置することで効果が最大に出るとされているものです。
この記事ではフライングスター(玄空飛星派)風水の飛星チャートの中で「格局」や「特殊格局」と呼ばれるチャートそのものが特殊な意味を持つ例について説明します。
また、これらの特殊なチャートにおいても、その多くは「建物の周辺環境が一定の要件を満たすとき」という条件において吉効果が発動する場合が多いとされています。
ですのでこのチャートの家に住んだからすべて吉となる!といったものではありません。
このサイトの記事でも再々書いているように風水はあくまでも目に見える環境と目に見えない気の流れの双方を重視するものですのでご注意くださいね。
旺山旺向(おうざんおうこう)
旺山旺向(おうざんおうこう)とは、その元運において最高の吉星である山星と向星が宅の背後と前方に配置されているチャートのことを指します。
つまり、2023年は第8運であり2023年時点最高の吉星(旺気)は8となります。向星8が宅の前方にあり、山星8が建物の背後に来ているということです。
ただし当然ながらこのチャートが好ましいとされるのは①建物の間取りがチャートを活かす形で作られていること、②好ましい期間はここでいう8が大吉星である期間のみ(元運が切り替わる2024年2月4日まで)です。
また、このチャートを持つ宅の場合にはもともとの四神相応の考えと同じく、建物の背後に山があり建物の前方に水(池、川、空き地等)が来ることがチャートの力を強めて望ましいものとされていますよ。
とはいえ元運が変われば使いづらいチャートとなってしまうことが往々にしてあるというのが実情ですので旺山旺向だから素晴らしい家だ!というわけではありません。
双星会向(そうせいかいこう)/双星倒山(そうせいとうざん)
チャートはいずれも第8運のもので、2023年現在もっとも力を強く発揮する星は山星、向星ともに8になります。
最高の山星8、向星8の双方が建物の前方に来ていることを「双星会向」、双方が建物の背後に来ていることを「双星倒山」と呼びます。ふたつの(吉)星が建物の向側で出会う、ふたつの(吉)星が建物の坐(山)側に落ちる、ということです。
双星会向のチャートを持つ宅の場合には(建物の建てられた元運においては)建物の前方に水(池、川、空き地等)と山が来ることが望ましく、双星倒山のチャートを持つ宅の場合には建物の後方に水(池、川、空き地等)と山が来ていることが望ましいとされますよ。
上山下水(じょうざんかすい)
チャートはいずれも第8運のもので、2023年現在もっとも吉祥の力を強く発揮する星は山星、向星ともに8になります。
そして建物前方(向)側に最吉星の山星8が来て建物の背後(坐)側に最吉星の向星8が巡るチャートの形のことを上山下水チャートと呼んでいます。
四神相応の原則に従うと建物背後に山があり前方に水があることが好ましいとされるところですがが、このチャートの建物については(建物の建てられた元運においては)建物前方に山があり建物背後に水(池、川、空き地等)が来ることを尊ぶチャートとされています。
山星/向星の満盤合十(まんばんごうじゅう)
左図のチャートでは人間関係運、健康運を表す左上の数字「山星」と、下側の数字「運星」を合計するとどの宮でも10になります。
これを山星の満盤合十のチャートと呼び、人間関係運に強いチャートであるとされています。
右図のチャートでは財運を表す右上の数字「向星」と、下側の数字「運星」を合計するとどの宮でも10になります。
これを向星の満盤合十のチャートと呼び、財運に強いチャートであるとされています。
父母三般卦(ふぼさんぱんか)
各方位の宮の山星、向星、運星が「1・4・7」「2・5・8」「3・6・9」の三つの組み合わせにより形成されるチャートです。
周辺環境が一定の条件に整った場合に限って「災いを福になすことができる」吉祥のチャートだとされていますよ。
連珠三般卦(れんじゅさんぱんか)※蓮茹(れんじょ)
各方位の宮の山星、向星、運星が「1・2・3」「4・5・6」「7・8・9」などの連続する三つの数字により形成されるチャートです。
こちらも父母三般卦と同様に周辺環境が一定の条件に整った場合に限って災いを福になすことができる宅の向きだとされていますよ。
ただしこの連珠三般卦については流派によって「蓮茹(れんじょ)」と呼び幸運の力を落とす悪いチャートであるとみる見方も存在しています。
伏吟(ふくぎん)/反吟(はんぎん)
伏吟、反吟とは、中央の宮に山星、もしくは向星の凶星5が配置されているチャートを指します。
左図では中宮に向星5が、右図では山星5が配置されているわけですが、ここから飛星のールと同じ順番に飛星が配置されることを伏吟、逆の順序に飛星が配置されることを反吟と呼びます。
伏吟には主に「停滞」などの意味が、反吟には主に「対立」などの意味があり良い効果を減じるもの(山星の反吟伏吟は人間関係運、健康運に悪影響が強く、向星の反吟伏吟は財運に悪影響が強い)とされています。
・・・が、おそらく中国語の書籍を除けば市販本として世界で最も玄空飛星派風水の理論の詳細を紹介いただいていると思われる山道帰一先生の「玄空飛星派風水大全」において楊公妙の「都天寶照經」の反吟、伏吟により発せられる凶がどのようなものかは紹介いただいていますが、、、
そこで書かれるのは「投獄や自殺」といった悲劇的なものでとてつもなく悪いです。
凶が発生するひとつの原因として記載のあるものは伏吟、反吟が「上山下水チャート」を併発するケースです。その他、特定の周辺の環境によっても伏吟反吟の凶が発せられるケースがあるとされています。
ですので少なくとも上山下水を犯す反吟伏吟チャートの家に住むことは避けた方がよいのではないかと私は考えています。(ただし、もともと伏吟反吟そのものが好ましいものではないので選択できるならば避けたほうが良いとも思いますが・・・)
※なお、伏吟、反吟のチャートが上山下水を犯すときに大凶ということについては楳山天心先生の「陽宅風水術実用大全」においても記載がなされています。
ちなみに上にあげた図はふたつとも上山下水を犯す伏吟、反吟のチャートになりますよ。
入囚(にゅうしゅう)
入囚とは、その元運(今は第八運、2024年から第九運に移り変わるという玄空飛星派におけるその時代の呼び名です)における旺気、つまり大吉の星がチャートの中央に囚われてしまっている状態のことを指します。
つまり、2023年現在においては山星、向星ともに「8」が最高の数字であるわけですが、左図におけるチャートでは向星の8は中央の宮に入ってしまっており、第八運の時期において財運がロックされてしまっている家だとみることができるわけです。ただしこの入囚は2024年2月4日から始まる第九運においては入囚の解除がなされるというわけです。
右図については人間関係運、健康運を示す山星の9が中央に来ています。これは2024年2月から始まる20年間の第九運の時期において人間関係運、健康運がロックされた家になってしまうということです。
なお、この入囚については解除することが可能な家もありますが、解除の可否はもともとの間取りなどといった建築そのものによるところが非常に大きいです。
おわりに
この記事で見てきたように、飛星チャートが表す情報というものはとても多いですし、ここで挙げたものの他に「七星打劫」などの特別な意味を持ったチャートは存在します。
ただし繰り返しますがこれらは「~のチャートだから素晴らしい!」というものではなく、建物の周辺環境の善し悪し、また建物間取りの使用用途がチャートに適合するものかどうかまでを観なければ安易に物件としての善し悪しの判断をすることはできません。
また、この記事で挙げただけでも複数の特殊各局に該当するチャートというものは存在し、それらの意味するところはすべて複合した形で現れるとされています。
たとえば8運の丑山未向などにおいてはこの記事で紹介しただけでも「満盤合十」「父母三般卦」「旺山旺向」「反吟」の3種類に該当し、それらのすべては重複した形で現実に影響を及ぼすものだとされています。
そんなわけですから良いものを探しに行くというよりは、まず周辺環境なども含めて「悪いものがないか」。その視点で物件を探すことは大切なことだと考えています。
「凶を避けて吉に赴くこと」。それが風水のなによりの目的だというわけです。
それではこの記事はここまでです。ここまで読んでいただきありがとうございました。
フライングスター風水(玄空飛星派風水)の実際の鑑定例については「フライングスター風水の鑑定例」の記事を、また7、8運の飛星チャートやフライングスター風水の注意点についてはそれぞれ下の記事にまとめました。
それらの記事もご覧いただけたら嬉しく思いますよ。
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