四柱推命鑑定士の私が天中殺/大殺界を気にしない理由(前編)

 わたしに相談をくださる依頼者様の中には、「これから2年間天中殺のため引っ越し、新築をしてはいけないのかと怖い」「今が大殺界の時期なので結婚は待つべきかと悩んでいる」「これから20年間大運天中殺の時期に入るためその期間をどう過ごしたらよいかわからない」といった不安をお持ちの方がしばしばおられます。

 たしかに「天中殺」や「大殺界」といった言葉はある程度世間に浸透している節があり、こうした占術に興味のある方なら気になる方は多いのかもしれません。

 ですが、こうした問いかけに対するわたしの答えはいつでも「天中殺や大殺界を気にする必要はないとわたしは考えています」です。

 これら天中殺や大殺界は四柱推命の「空亡」と呼ばれるものとほぼ同一のロジックにより求められる概念です。

 そして中国占術の四柱推命において空亡は「その時期が吉であれ凶であれ力が弱い」とみるもので、俗説における天中殺や大殺界のような「この2年(3年)、あるいは20年に新しいことを始めると不幸に至る」というような概念ではありません。

(一部「中国で古来から研究されてきた四柱推命で天中殺は凶」と言われていたりしますのでとてもややこしいところはあるのですが・・・)

 この記事では四柱推命理論を踏まえてこれら天中殺や大殺界に関するわたしの考えをまとめてみました。

 なお、この前編記事は天中殺や大殺界の理論的な説明が主内容のため、著名人の実例10例ほどやわたしの結論のすべては後編記事に記載しておりますのでそちらから先に見ていただく方がよいかもです。

 もちろんですがここに書くのはあくまで算命学や六星占術を専門的に学んだことのない、四柱推命寄りの私の個人的見解です。この文を読まれているあなたがどちらを信用するももちろん自由ではありますが、わたし自身はこの記事ことを自分の中の根拠として信用しないという決断を下しています。

 述べ5万字近くのちかっぱ長文の記事なので前後編に分けますが、この記事が天中殺や大殺界に悩む方の助けになれば幸いに思います。

 なお、この文章の前後編全体の構成としては次のとおりで、この前半記事においては四柱推命の空亡、算命学の天中殺、六星占術における大殺界の理論的な構成について記したもので、後半部のわたしの考えを導く基礎としてのこれらに関する基礎知識を比較しながら記したものとなります。

 ・・・ですのでこうした占術の理論や知識に興味のない方は後半の記事から読んでいただく方が良いのかもしれません笑 

 この記事の最後にも後編記事に記載予定の内容については記しておきますのでよかったらご確認ください。

前後編全体の文の構成について

≪前編(本記事)記載内容≫

①四柱推命における空亡の概論

②算命学における天中殺と六星占術における大殺界の概論

≪後編記事記載内容≫

③天中殺(大殺界)期間に活躍、結婚、転機を迎えた著名人実例による俗説の反証

④わたしの疑問点とわたしなりの結論

目次

四柱推命の空亡(六甲空亡)について

 天中殺や大殺界というものを考える前に、中国占術の四柱推命における空亡という概念についておさらいしておきます。

 四柱推命は中国占術の命術(宿命、運気の流れを読み解く技法)の一つで、1100年代、宋の徐子平が四柱推命の最古の書を記していることから宋代に創設された理論だと言われています。

 個人の生まれた生年月日と出生時間を年、月、日、時の四つの柱(四柱)の八文字に見立てて、「四柱の八文字から命(宿命)を推しはかる」もので、台湾、香港などでは八字や子平推命とも呼ばれるものです。

(文化大革命により中国本土の占術家たちが迫害を受けて多くの専門家が流れた先が台湾や香港であるため、現在のこれら占術の本場は台湾、香港、シンガポール、マレーシアなどだとされていますよ)

 四柱推命の空亡については「四柱推命の空亡とは」の記事に概要を記したところですが、要約すれば「空亡とはその人の日柱が属するグループによって求められるもので、①もともと自分が持っている命式内の空亡、②大運により続く長期間の空亡、③毎年の年等により時期として該当する空亡がある」というようなものです。

 そしてこの時期によって該当する空亡については「全てに凶」というような単純なものではなくて、「その空亡に該当する時期が吉であれ凶であれ、その力が弱められるもの」だというのが本来の四柱推命における基本的な理解だということです。

※あくまで基本的な理解です。これがすべてではありません。

 そしてその空亡は各自の生まれた日の日柱が属するグループによって求められます。

戌・亥申・酉午・未辰・巳寅・卯子・丑
甲子甲戌甲申甲午甲辰甲寅
乙丑乙亥乙酉乙未乙巳乙卯
丙寅丙子丙戌丙申丙午丙辰
丁卯丁丑丁亥丁酉丁未丁巳
戊辰戊寅戊子戊戌戊申戊午
己巳己卯己丑己亥己酉己未
庚午庚辰庚寅庚子庚戌庚申
辛未辛巳辛卯辛丑辛亥辛酉
壬申壬午壬辰壬寅壬子壬戌
癸酉癸未癸巳癸卯癸丑癸亥
戌・亥申・酉午・未辰・巳寅・卯子・丑
空亡の早見表です。表は縦に見るもので、日柱がどの位置にあるかを確認いただいて、その縦のグループの上端あるいは下端が空亡の地支です。

※この表は日柱が縦列で見てどのグループに属するかによって、最上段、最下段の黒セルの二文字に相当するものが空亡に該当するものです。

 この表を見て頂くとわかるように、日柱が甲子や乙丑である方ならその方の空亡は戌と亥、日柱が甲午や乙未、丙申などの方なら空亡は辰と巳です。

 つまり下の例の方なら日柱は「丁酉」ですのでこの方にとっての空亡は「辰と巳」が該当し・・・

2024年8月1日正午12時生まれの方の命式です。

 命式内の年柱の地支に空亡たる辰があり、かつ2024年は甲辰年、2025年は乙巳年なのでこの方にとって2024年、2025年は流年による空亡に該当してくる期間に該当し、かつ空亡はこうした年運などのほかに大運という10年周期で個人ごとに異なった形で巡る運気の流れ(多くの例では10年1単位の大運のうち、空亡に該当するものは2連続で続きます)などがあるというところです。

  • 四柱推命は1100年代に現在の形に大成されたといわれる理論
  • 四柱推命は個人が生まれた生年月日と出生時間を四柱(年柱、月柱、日柱、時柱)に変換してその八字全体の関係性と、大運や年運などその時期その時期の行運との関係性を読み解くもの
  • 四柱推命の空亡は日柱が属するグループによって決まる
  • 空亡の基本的な意味は「該当する地支の力が弱まる」もの
  • つまり空亡それだけでは凶だも吉だとも判断しません
  • 空亡の判断対象は①命式内の空亡、②個人によって異なる10年単位の大運によって該当する空亡、③誰しも等しく流れる年運などの行運によって該当する空亡の3つ

 四柱推命の空亡についてもう少し詳しくは下記の記事を参照いただけたら。

 では、天中殺や大殺界とはいったいどのような概念なのでしょうか?

参考HP:ウィキペディア「四柱推命」

算命学の天中殺とは?/調べ方と概要

 ではここから天中殺について考えていきます。

 まず、「天中殺」という用語は算命学という占術によるものですが、この算命学とはもともと鬼谷子という紀元前の中国の人物が創設した占術とのことで、ほんの一握りの人物にのみ受け継がれてきた占術だとされています。

 その算命学の12代継承者であった呉仁和氏が中国共産党の文化大革命の時期に長崎県に移り住み、そこで呉仁和氏に出会った高尾義政氏(1941ー1990)が占術理論の伝承を受けて13代継承者として昭和四十年代に算命学理論を公開した、というのが算命学の世界で言われているところです。

 この高尾氏の他にも西川満氏(1908-1999)という台湾系統の理論を伝承されて算命学を創始したといわれる人物がおりますが、この西川氏においても算命学の体系を発表したはじめは昭和47年発刊の「天中殺」からだとされるものです。

 ただしこのあたりの歴史、とくに鬼谷子やその著書「鬼谷子算命学」については算命学の使用者の方々においても疑義があるようで複数のサイトでそうした意見が見られたり、ウィキペディアの記載にも疑問符がついているようですが・・・。

参考HP:

ウィキペディア「算命学」

ウィキペディア「高尾義政」

ウィキペディア「西川満」

「天中殺に事を起こすと必ず破滅になる」が世間に浸透した天中殺ブームについて

 この算命学における天中殺が世間で注目されるに至ったきっかけについては1978年~1979年の天中殺ブームというものがそれに当たるのではないかと私は考えています。

 前述の高尾氏からこの算命学を学んだ和泉宗章氏という人物が1978年に出版した「算命占星学入門」、また翌1979年に出版した『天中殺入門』は2冊併せて300万部というヒットを飛ばし、1979年のベストセラーの1位と2位になったとされています。

 当然その時期にはテレビやラジオなどのメディアに和泉氏が露出する機会も多く、またこの天中殺をさまざまな女性誌なども取り上げたことからこの算命学と天中殺という概念が日本社会に一気に広まったとされるのがこの時期に当たります。

 そしてこの「算命占星学(2)天中殺入門」で天中殺は次のような言葉で紹介されていました。

序章 天中殺に事を起こすと必ず破滅になる

(中略)

 ~氏(※)はかつて、夫、あるいは妻が天中殺のときに結婚した夫婦の追跡調査をしたことがあります。一四〇〇組の夫婦を対象に、果たして結果はどうなったのかを調べたものです。

 なんとその結果は無残なものでした。結婚五年以内に離婚した夫婦が70%、さらに結婚十年以内に範囲を広げてみると、96%の夫婦が離婚しているのです。そして、残りの4%も調べてみると、そのほとんどが死別か離婚同然の生活をしており、予測はしていたものの、あまりの惨憺たる結果に調べた方が愕然としてしまいました。

      ー和泉宗章氏「算命占星学(2)天中殺入門」P13~23から引用

※サイト管理者注:本文内では実名です。

 ただしこの和泉氏については後編でもう一度触れますが、この「天中殺入門」発刊の数年後に和泉氏は占い否定派に転向をしており、天中殺を否定する立場を取ることとなりました。

参考HP:ウィキペディア「天中殺」

参考書籍:和泉宗章氏「算命占星学(2)天中殺入門」

四柱八字による四柱推命と三柱六字による算命学

 それでは四柱推命とこの算命学の大きな違いは何でしょうか?

 算命学においても諸流派によるさまざまな違いはあるでしょうが、多くの流派においては四柱推命における「生年月日、出生時間」という四柱でなくて「出生時間を判断せず生年月日まで」の三柱で命式を作成、判断するものだとされています。

2024年8月1日正午12時生まれの方の命式です。

 つまり上の命式は四柱推命における四柱八字を表したものですが、出生時間を入れない流派の算命学においては時柱の「丙午」を完全に無きものとして下記のように扱うということです。

2024年8月1日の三柱の命式です。

 内容によっては一般的な四柱推命理論よりも内容を大幅にボリュームアップさせて論じている項目などもあるため一概に簡略化といえるものではありませんが、ここでは大きな違いとしてこの三柱の問題についてのみ挙げておきます。

※この記事を書くにあたり、算命学や六星占術(や天中殺や大殺界)に関する書籍を合計十数冊程度、サイト記事等はおそらくその十倍以上は読んでいますが本記事は多くの著者、サイト運営者の意見を否定する内容であるためそれらについては参考リンク、参考書籍としては挙げません。ただし高尾氏の「原典算命学大系」は未読です。

天中殺の算出方法は四柱推命の空亡と同じ

 ではこの天中殺はどのように算出するのでしょうか。その結論は「天中殺の算出方法は四柱推命の空亡と同じ」です。

戌・亥申・酉午・未辰・巳寅・卯子・丑
甲子甲戌甲申甲午甲辰甲寅
乙丑乙亥乙酉乙未乙巳乙卯
丙寅丙子丙戌丙申丙午丙辰
丁卯丁丑丁亥丁酉丁未丁巳
戊辰戊寅戊子戊戌戊申戊午
己巳己卯己丑己亥己酉己未
庚午庚辰庚寅庚子庚戌庚申
辛未 辛巳辛卯辛丑辛亥辛酉
壬申壬午壬辰壬寅壬子壬戌
癸酉癸未癸巳癸卯癸丑癸亥
戌・亥申・酉午・未辰・巳寅・卯子・丑
空亡の早見表です。表は縦に見るもので、日柱がどの位置にあるかを確認いただいて、その縦のグループの上端あるいは下端が空亡の地支です。天中殺の算出基準は空亡と全く同じですよ。

 前述の四柱推命の空亡を説明した際に挙げた例2024年8月1日の例を再度挙げますと、日柱はここでも当然同じ「丁酉」であり、天中殺の算出は空亡と同じですのでこの方の天中殺は「辰と未」となるわけです。

2024年8月1日の三柱の命式です。

 ちなみに四柱推命に関する中国宋代に徐子平が記した「淵海子平(えんかいしへい)」という書物に空亡(六甲空亡)に関して論じた節があり、そこに「またの名を天中殺」といった記述がみられますよ。

参考HP:ウィキペディア「天中殺」

天中殺の判断対象と該当期間

 算命学において天中殺の判断対象とする内容についても四柱推命の空亡と同じです。

①命式内の天中殺(宿命天中殺)

②大運で巡る天中殺の時期(大運天中殺)

③年運、月運、日運などで巡る天中殺の時期

2024年8月1日の三柱の命式です。

 つまり、上の命式を持った方の場合なら「辰と巳」が天中殺に該当しますので、①年柱地支の辰が命式内の宿命天中殺に該当し、②大運で巡る時期の「大運天中殺」と呼ばれる10年~20年間継続する天中殺の時期がある。最後に③年運などの巡る運気の流れの中で該当する期間があるということです。

 この①宿命天中殺については、この例における年柱の天中殺は「生年天中殺」、月柱の天中殺は「生月天中殺」と呼ばれ、いずれも親縁が薄くなるなどの意味合いを持つといわれるケースが多いようです。

 また、②大運天中殺については算出に万年歴が必要なため詳細は割愛しますが、人それぞれに大運の巡り方は異なりますが、大運の起算の根拠は月柱からであり、十二地支が10年ごとに巡るため120年をかけて循環する構造となっています。

 そのため月柱に天中殺を持っている、あるいは生涯大運に天中殺が巡らないなどのケースを除けば大運天中殺は20年間継続するものです。

 そして最後に③年運、月運などで巡る天中殺についてですが、算命学においては多くの方が年運の他に月運での天中殺も判断対象にしている模様で、流派によっては日運までを判断対象に含めています。

 年については2024年が「辰年」であり2025年が「巳年」であることと同様に、月についても下記のルールで毎年の流月が巡るもので、その該当する月においては天中殺に該当するということです。

※正確には上記の月は、二十四節季によって切り替わるもののため正確には毎年の子月、丑月などの該当期間は異なります。たとえば寅月は立春から啓蟄までの期間を指すもので、今年の立春は2月4日で今年の寅月は2月4日~3月5日ですが毎年その期間は若干異なるということです。

 たとえば先の例に挙げた方であれば辰と巳が天中殺のため、毎年のうちで概ね4月4日~6月5日頃の時期が月運の天中殺に該当します。

 日運に関しては、たとえば2024年8月1日が「酉の日」であることからわかるように、翌2日は戌の日、3日は亥の日、4日は子の日・・・と、毎日の十二支は年や月と同じように循環しますので、これらのうち、辰の日、巳の日が天中殺に該当するということ。

 これらの算出のルールから大運、年運、月運、日運のいずれにおいても20年、2年、2か月、2日の天中殺が連続して巡るケースが多くなります。

参考HP:ウィキペディア「天中殺」

    国立国会図書館「二十四節季」

天中殺の意味と天中殺の時期にしてはいけないとされていること

 算命学における天中殺は「天が味方をしてくれず、ものごとがうまく進まないとき」と称されるもので、良く言われることととして、下記のようなことはすべきではないと言われます。

  • 重大な決断
  • 結婚・出産
  • 転職や起業
  • 引っ越し
  • 土地購入、住宅新築など

 こうしたものが俗説としてどんどん話が飛躍してしまっている中で、さまざまなサイトなどの俗説を拝見する限り、たとえばこの中の「結婚」という項目については、先に挙げた和泉宗章氏の「天中殺入門」の記載内容がそのまま引用されていたり、「天中殺に結婚したり新規事業を興したりするケースでは十数年の時間を経た後にでも不幸が訪れることがある」「結婚の時期だけでなく出会った時期も考慮する」などというようなあまりにも範囲が広くあいまいな記載や言葉をしばしば見受けるのが現在の状況だと考えています。

 ただし、さまざまな専門家のサイトを見て頂くとわかるように、天中殺の捉え方は専門家によってもさまざまで、同じ算命学の使用者の方々であってもこれを一律に凶として捉えているわけではありません。

六星占術の大殺界とは?/その調べ方と概要

 では次に大殺界についてです。

六星占術について

 この大殺界は細木数子氏が考案したとされる人の属性を「土星人、金星人、火星人、天王星人、木星人、水星人」に区分けして判断する六星占術の一概念で、数多くのテレビ番組で細木数子氏自身がこの占術を説かれていました。

 「あんた地獄に落ちるわよ!」という細木数子氏の言葉はとてもパンチが効いてますが、おそらくこのわかりやすいキャラと言葉も相まって大殺界の概念は広まったのだろうと。

 とはいえ複数のサイト等から指摘があり、これから見ていくようにこの六星占術と大殺界の理論は算命学と天中殺の理論に酷似する要素もとても多く、これを算命学などは無関係の独自考案だというのはさすがに難しそうに感じますが・・・?

参考HP:ウィキペディア「六星占術」

    ウィキペディア「細木数子」

大殺界の運命性の算出方法は天中殺理論(≒空亡理論)に独自の追加がなされたもの

 六星占術では土星人、金星人、火星人、天王星人、木星人、水星人の六種類の運命星に人を大別して、それらの方が該当する大殺界を判断します。

 ではこの運命星はどのように求めるのでしょうか?

 この運命星の算出は空亡や天中殺と同じく、生年月日から三柱を出し、その日柱がどの空亡に該当するかを以って運命星の算出を行いますが少しだけそこに変化が加えられているようです。

戌・亥申・酉午・未辰・巳寅・卯子・丑
甲子1甲戌11甲申21甲午31甲辰41甲寅51
乙丑2乙亥12乙酉22乙未32乙巳42乙卯52
丙寅3丙子13丙戌23丙申33丙午43丙辰53
丁卯4丁丑14丁亥24丁酉34丁未44丁巳54
戊辰5戊寅15戊子25戊戌35戊申45戊午55
己巳6己卯16己丑26己亥36己酉46己未56
庚午7庚辰17庚寅27庚子37庚戌47庚申57
辛未8 辛巳18辛卯28辛丑38辛亥48辛酉58
壬申9壬午19壬辰29壬寅39壬子49壬戌59
癸酉10癸未20癸巳30癸卯40癸丑50癸亥60
戌・亥申・酉午・未辰・巳寅・卯子・丑
空亡(天中殺)の早見表に六星占術の運命数を書き足したものです。表は縦に見るもので、日柱がどの位置にあるかを確認いただいて、その縦のグループの上端あるいは下端が空亡の地支ですが、干子の後につけた数字は六星占術の「運命数」と呼ばれるもの。つまりこの六十甲子からの概念です。

 そして、ここで自分の運命星を割り出す基準となるものは自分がどの空亡(天中殺)に該当するかです。

天中殺(空亡)と運命星の対応表です。天王星は不明ながら、子丑の子が水の五行で午未の午が火の五行など、五行にある程度対応する形で作られていそうですね。

 自分の該当する六星が何に該当するかは六星占術の関連サイト等で自動計算ができようかと思いますが、個人が生まれた年月の初日の運命数を六星占術の関連サイト等から割り出してそこから1を引いて生まれた日を足す、かつその数字が60を超えた場合に60を差し引くという作業を行います。

 が、この計算は結局のところ四柱推命や算命学の命式の中から日柱だけを割り出すための手順と同一で、たとえば平成元年(1989年)1月の運命数は58、平成2年6月の運命数は34ですが、平成元年1月1日の日柱は辛酉で平成2年6月1日の日柱は丁酉が該当しているため、運命数という数字は上で挙げた表のとおり、四柱推命における甲子から癸亥までの六十甲子の循環を運命数という1~60までの数字に置き換えたものです。

 つまり空亡(天中殺)を割り出すために知るべき日柱は六十種類の天干と地支の組み合わせにより循環するものですが、それを六星占術においては運命数という数字を使って日柱を割り出し、その日柱が属する天中殺グループに「~星人」という呼称を付けているということ。

 もう一度先ほどの例で考えますと、

2024年8月1日の三柱の命式です。

 この方の日柱は丁酉ですので、辰巳天中殺(=辰巳空亡)に該当します。そして辰巳天中殺の方はさきほどの表で見ると天王星人に該当するということです。

 さらにプラスとマイナス(天王星人+、天王星人-など)は生年が子・寅・辰・午・申・戌のときにプラスとなり、丑・卯・巳・未・酉・亥のときにマイナスとなりますので、この方は生年の地支は辰なのでこの方は天王星人+になるということです。

※ちなみに、この六星占術においてはこのロジックの他に生まれ年の絡みから「霊合星人」という特殊な運命を持つ方がいるとされています。ロジックとしては命式内の年支が空亡に該当している方の一部(つまり天中殺の例で言うなら宿命天中殺を持っている方のうち2分の1の確率でこれに該当するもので、2024年8月1日生まれの方は霊合星人に該当します)はふたつの運命星の影響を受けるとするものですが、話が複雑になりすぎるのでここでは立ち入りません。

参考HP:ウィキペディア「六星占術」

大殺界の判断対象と該当期間

①大運で巡る大殺界の時期(宿命大殺界)

 ・・・四柱推命の大運空亡、算命学の大運天中殺と同じ(二つの地支を対象とする)

②年運、月運、日運等で巡る大殺界の時期

 ・・・四柱推命の空亡該当年月、算命学の天中殺該当年月に加えて、運命星からもう一つの地支を足した合計3つの地支が該当する。つまり年運なら3年連続し、月運は3か月連続し、影響は軽微としながらも日運も気にするもののようです。日運を考慮するなら12日のうち3日間が該当します。

※命式内の地支は対象にしない

 大殺界はおおむね天中殺と同じ概念ですが、ここには二つほど違いがあるように思います。

 まず一つ目は命式内の大殺界は判断対象とせずあくまでも後天的に巡る期間の問題としてこの概念を扱っていることです。

 そしてもう一つの違いとして、算命学の天中殺においては、「大運、年運、月運すべてにおいて検討すべきはふたつの地支」でしたが、六星占術において大殺界の計算に含めるものは「大運のみは算命学の天中殺と全く同じで、年運、月運、日運については天中殺に該当するふたつの地支に近接するもう一つの地支の合計三つを大殺界として規定」しています。

 まず大運についてです。今は自動計算サイトが閉じてしまっているようですが、結論としてはこの宿命大殺界の調べ方は先に書いたとおり「大運天中殺と同一」です。(つまり四柱推命の大運空亡とも同じです)

 この大運の算出基準については六星占術の著作などにその算出基準が掲載されていますが、確認するとほぼ完全に算命学の大運と同じもので、大運を算出するプロセスにおいては下図のような命式作成からはじめよ、とかかれています。

2024年8月1日の三柱の命式です

 そして大運までを算出した後に、大運として巡る星がいずれかによって大運の大殺界を割り出すものですが、やはりこちらについても四柱推命の大運空亡や算命学の大運天中殺と基本的なロジックは同じです。

 人それぞれに巡る10年ごとの運気の切り替え時期があり、その大運に空亡に該当する地支が巡る時期をここでは宿命大殺界と呼んでいるということです。この大運による空亡は10年一単位のものが多くのケースで二単位連続で巡るため、総合して20年連続で巡るケースが多いということになります。(大運空亡、大運天中殺と同じ)

※ちなみに算命学においては命式内の天中殺を「宿命天中殺」と称し大運で巡る天中殺を「大運天中殺」と称していましたが、六星占術では命式内の大殺界は考慮せず、大運で巡る大殺界を「宿命大殺界」と称するようです。

2024年8月1日の三柱の命式ですv

 次に年・月・日についての考え方ですが、この六星占術では空亡や天中殺に該当するふたつの地支のほか、自分の運命星が+の人は空亡該当の地支のひとつ前の十二支を大殺界に含み、自分の運命星が-の人は空亡該当の地支のひとつ後の十二支を大殺界に含みます。

 たとえば先に挙げた命式の天王星人+の方は「辰巳空亡(辰巳天中殺)の持ち主でしたからもともと天中殺は辰と巳が該当するもので、この天王星人+の方においては辰の前の十二支、つまり卯も大殺界に含めて「卯・辰・巳」の3干支を大殺界として扱うということです。

 もう少し例を挙げておくと天王星人-の方は辰、巳のほかに午も含めるために辰巳午の3か年や3か月、3日間が大殺界に該当し、木星人+の人は丑寅卯の年月日が、火星人-の人は午未申の年月日が大殺界に該当するということです。

 この考え方で今年の年運(2024年は辰年、2025年は巳年です)や毎年巡る月の地支(下表)から年と月の大殺界は確認が可能です。月については日常目にするカレンダーの暦と数日程度ずれがありますのでご注意を。

※正確には上記の月は、二十四節季によって切り替わるもののため正確には毎年の子月、丑月などの該当期間は異なります。たとえば寅月は立春から啓蟄までの期間を指すもので、今年の立春は2月4日で今年の寅月は2月4日~3月5日ですが毎年その期間は若干異なるということです。

 ちなみに日運については、ここで考慮するのは地支だけですので子、丑、寅、卯・・・の順番で12日間1セットで循環する地支のうち3つを日運大殺界として扱うということです。

大殺界の意味と大殺界の時期にしてはいけないとされていること

 六星占術における大殺界は「人生の冬」と説かれるものですが、巷で説かれるものとして、次のようなことをしてはいけないとよく言われます。

  • 重大な決断
  • 結婚・出産
  • 転職や起業
  • 引っ越し
  • 土地購入、住宅新築など

 見てのとおりほぼほぼ天中殺と同じです。 

 この大殺界についても、「大殺界に入ってくるようで引っ越し、結婚、新築などをしては不幸になるのかと不安になっている・・・」というような声を全くこれらについて発信していないわたしですらしばしば耳にします。

 なのですが・・・こちらについても六星占術の後継者とされる細木かおり氏の発言を紹介させて頂きます。

母の細木数子がバラエティ番組に出演していたときに「大殺界」と言うたびに“大殺界が来ると地獄に落ちる”とか、“12年のうち3年間は恐怖の運気がやってくる”こんな間違った伝わり方をしてしまい、こちらは大変な思いをしています。

六星占術の継承者の私が断言しますがちゃんと理解していれば、大殺界は恐怖の3年間ではありません!

ー「WITHONLINE細木かおり『占いにハマる女』メッタ斬り≫」の細木かおり氏の発言から一部引用

 ・・・つまるところ天中殺や大殺界が「単なる大凶の時期」だなんてのはそもそもそれらの占術の専門家の方々が否定されているんですよね。

参考HP:WITHONLINE「細木かおり『占いにハマる女』【メッタ斬り1】≪大殺界が恐怖の3年間だなんて誰が言った?≫」

おわりに/後編記事の記載予定内容について

 この天中殺と大殺界に関するわたしの考えの前提となる理論的な知識はこの記事に記したとおりです。

 なお、この記事では触れませんが算命学においては天中殺の種類によって生まれ持った性質が異なるという考え方をするところがあるようです。

 天中殺の種類から本人の性質を見るとは、たとえば「子丑天中殺の人は素直で純粋」だとか「寅卯天中殺の人は行動力があってパワフル」だとかそういったことで、算命学の一部流派においてはこのように天中殺を重視してそこから特性を導き出すという要素があり、この天中殺主体の考え方はそのまま六星占術の運命星の各々が持つ特性という考え方に受け継がれているのではないかなと推測していますが・・・

 少なくともわたしが知る四柱推命の諸流派において空亡の種類で個人の性格性質どうこうを見るといった概念は使用しません。

 また、この記事の結論ははじめから書いているように「わたしは気にしていません」なのですが・・・

 ロジックさえわかっていれば、この文章を読んでいるあなた自身の人生において、今回の天中殺/大殺界の12年前の該当期間、あるいは毎年訪れる2か月ないし3か月の天中殺と大殺界の月といったものがあなたにとってどのようなものだったのかをきちんと見つめなおして頂いても良いのかもしれません。

 たとえば今天中殺や大殺界に該当している方が、ひとつふたつの悪いことが起こったからと言って、それだけで天中殺/大殺界はやっぱり凶なんだ・・・と悲観するにはあまりにも早く、こうしたものを盲目的に信用して悪い自己暗示をかけてしまうくらいなら、ロジックを基にご自身の人生やご自身の周りの方々の例を考えてみてどのくらい凶が起こっているのかなと検討する方がはるかに建設的ではないかなと自分は考えています。

 書き出すときりがないので話を進めますが、後編の記事ではこの前半で記した基礎知識に基づいて、次のような観点からわたしの「すべてことを起こすと凶」という天中殺や大殺界の俗説に対するわたしの疑問点と考えを記す予定です。

後編記事の記載予定内容について

・天中殺/大殺界期間中に活躍、結婚、転機を迎えた著名人実例(合計10例程度)

・「四柱推命で天中殺は大凶!」の誤謬について

・人生全体で天中殺/大殺界の該当期間はどの程度か

・天中殺ブームの立役者、和泉宗章氏の天中殺の否定について

・生年月日や出生時間で人生の結果のすべてが決まるわけがない

 それではこの記事はここまでです。

 この前半記事は理論的な話ばかりで読みづらい文章だったのではないかとも思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 ここまで読んでいただいたあなたならきっと後半記事を面白く読んでいただけたら・・・と思いますよ。

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